第9話 入団試験編 観戦

剛善の後をついていくと、第一試験会場の内部は巨大な武道場のようになっていた。

1階には板の間が広がり、2階は1階を見下ろせるように中央が開いていて観客席のようになっていた。

剛善は板の間の中央に置かれた木の箱を持ち上げて見せると言った。

「この木箱の中にはくじ引きが入っている!

これはお前達の試合の組み合わせと順番を決めるための物だ!2人の代表者は1名前に出てくじを引け!」

幽姫が蒼蒔の袖をクイクイする。

「蒼蒔行ってきて」

「ああ、なるべく後ろの方を引いてくるぜ」

後ろの方なら前のやつらの戦い方が観れるからな

蒼蒔の番が来てくじを引く。

なるべく弱いやつらと当たりますように!

くじの結果は27試合中20試合目であった。

「やったな!試合がどんな感じか観れるな!」

「うん!そうだね!全部で27試合ってことは試験の参加者は108人いるってことだね!」

「結構多いな、この中で第一試験に合格出来るのは27組54人ってことか、、」

「この試験で半分も脱落しちゃうんだね」

毎年合格者は一握りの狭き門だとは聞いている。第一試験なんかで負けてられない!

全員がくじを引き終わり、全ての試合が組まれたところで剛善が叫ぶ。

「それでは第一試合の4人以外は全員2階の観覧席へ移れ!!」

蒼蒔たちは2階の席に座った。

1階を見ると1試合目の4人が向かい合って立っていた。

「いよいよ始まるな」

ドドンッ!!!

「始め!!!」

試合は壮絶なものだった。お互いに怪手道使い同士の戦いは人間相手に怪気を出し合っての戦いとなる。

1試合目は1人が両目を負傷して戦闘不能になり決着がついた。適切に治療しなければ失明の恐れもある傷だ。

「やばいな」

これは武道の練習や模擬試合ではない。

試験官の剛善は「相手を殺してはいけないとは言っていない」あくまで相手を戦闘不能にしたら勝利なのだ。生死は問題ではない。

「ガタガタガタガタガタガタ」

試合を見ていた幽姫が蒼蒔の腕を掴みながら小刻みに震えている。

「そっ蒼蒔っ、これやばくない?まるで殺し合いじゃん!」

「いや、まさに殺し合いでしょ。」

「ひぃ!」

また幽姫が涙目になる。

「蒼蒔ぁ〜、やっぱり僕たち棄権しよっか」

「何言ってんだするわけないだろ」

「ひぃぃ!でも不合格で帰ったらお父様に怒られそうだし!どっちも嫌だ!」

「大丈夫だ!勝てばいい!無傷で勝てばいいだけの話さ!」

「ほんとに大丈夫かな〜」

その後も試合は続き、蒼蒔達の順番が近づいてきていた。

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