第10話 入団試験編 対戦相手

いよいよ蒼蒔と幽姫の試合の順番が回ってきた。ガタガタと震えてなかなか歩こうとしない幽姫を引っ張って1階の中央に向かった。

相手はどんなやつなんだ?

1階の中央に行くと先に待機していた対戦相手と向かい合う。

「あっ!お前は!」

大男の方は初めに蒼蒔を野良の手だと言って無視したやつであった。

「アハハ、対戦相手は野良の手と女の子か、

これは勝ちもらったな、お前ら今のうちに降参しといた方がいいんじゃねーの」

「ガタガタ、女の子じゃないもん!ガタガタ」

震えながらもそこはちゃんと否定する幽姫。

「へっ!あの時は無視してくれてどーも!

お前みたいな身体も口もデカいだけのやつと組まなくてよかったぜ!」

蒼蒔の身長は5尺9寸(約177cm)。

大男の身長は6尺3寸(約190cm)。

大男と組んでるもう1人の方は5尺4寸(約163cm)。

「威勢がいいのも今のうちだけだぜ?

試合が始まったら野良の手のエセ拳法なんか瞬殺だってーの。俺の名前は【石垣いしがき 一玄いちげん】。

六大流派の一つ【剛寂ごうじゃく流】の分家の【剛石ごうせき流】の2段。」

石垣一玄の隣にいるツンツン頭が話す。

「俺は【鴨原かもはら 隼音はやね】。六大流派の一つ【とどろき流】の分家の【残音ざんおん流】の初段だ。お前らに恨みはないが合格するために狩らせてもらうぜ。」

ほう、2人とも分家の段持ちか。そういえば人間と戦ったのはじいちゃんとしか戦ったことないな。もっと対人戦を想定しておくべきだったか?でも少なくとも言えることは、

この2人より俺のじいちゃんの方が強い。

「フフフ」

蒼蒔は笑っていた。

「何がおかしい!恐怖でおかしくなったか?」

「いや、不思議なんだけどさ、勝てる気しかしねぇんだよな、お前が床に倒れ込んでる未来が見えるぜ。」

蒼蒔は至って冷静であった。いや、内心はじいちゃんが教えてくれた千年裏真流を馬鹿にされて怒っていたかもしれない。蒼蒔の身体からは沸々と藍色あいいろの怪気が溢れ出てきていた。

もうすぐ試合が始まる。

蒼蒔、一玄、隼音が構える!!


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