第15話 入団試験編 消気(しょうき)
蒼蒔と幽姫は
「ねえ、蒼蒔」
「ん?どうした?」
「蒼蒔って【
「ああ、使えるよ」
「一応使っといた方がいいかなって」
「たしかにな!いいこと言うな〜」
「えへへ〜」
消気とは身体から出る怪気を周囲と同化させて気配を探られないようにする高等技術である。熟練者になると怪気を出して戦う戦闘中であっても消気を使うことが出来る。
一方、逃げる受験者たちを次々と捕まえていった
「蛍にぃ。残りの受験者たちの気配が完全に消えたね。」
「うん、まだ16人ほど残ってると思うから【消気】を使ってるんだろうね。」
そもそもこの第二試験は【消気】を使えるかを判断するための試験である。よって残りの受験者たちはほぼ合格と言ってもいい。
「まだ講堂の方は探してないし一応2人で行ってみようか」
「そうだね〜」
2人は講堂の方へ向かった。
「ねえ!蒼蒔!2人ともこっち来たよ!」
「来たか、、まあ【消気】を使ってるからそう簡単に見つからねえと思うが、、」
蛍と乱が蒼蒔たちの隠れている屋根裏の真下を歩く。
「ねえ乱、なんかここ匂わない?」
「うーん、たしかになんか硫黄みたいな匂いがかすかにするようなー」
ん!?マジか!俺たちが温泉に入ったのは4日前だぞ!どんな鼻してやがるんだ!
「この上の方が臭いよね」
「うん、上だね、屋根裏かな?」
やばい!こっちに来る!屋根に登らなければ!
「幽姫、屋根の上行くぞ」
耳元で囁く。
屋根裏の開いている窓から屋根によじ登る。
「うーん、屋根裏にもいないねー」
「でもまだ硫黄の匂いするんだよねー」
「もっと上かな?屋根とか」
くそっ!このままじゃ屋根の上にも来やがる!どうする?幽姫と2人で屋根から飛び降りるか?しかし10丈(30メートル)はあるぞ。
怪気で護ったとしても無事に降りられるだろうか。
「蒼蒔!来た!」
どうする!どうする!
「あっ!いた!」
「みーつっけた!」
「幽姫!俺の背中にしがみつけ!」
「うっうん!どうするの?」
「隣の塔まで跳ぶ!」
やるしかない。隣の五重塔まで3丈(9メートル)ぐらいか。
藍色の怪気を両脚に込める。
【千年裏真流・
幽姫を背負って力いっぱいに踏み込んで跳んだ!
「ひいぃぃぃ!飛んでるぅぅ!」
幽姫が悲鳴をあげる。
ズガッ!
とっ届いた〜幽姫が軽くて助かったぜ。
講堂の屋根を見ると蛍と乱がこちらを見ていた。
「蛍にぃ、あいつすごいね。」
「人を背負いながらこの距離を跳んだよ。」
「どうする?僕たちも跳ぶ?」
「いや、辞めとこう。もうそろそろ時間だし、あいつとの追いかけっこは疲れそうだ。」
「蒼蒔すごいよ!間一髪だったね!」
「ああ、でもこれで跳べることは分かった。またこっちに上がってきたら講堂の屋根に飛び移ればいい。」
蛍と乱は諦めたのか下に降りて別の場所を探しに行った。
ドドドンッ!!!
それからしばらくして太鼓の音が響いた。
「第二試験終了だよ〜」
「今捕まってない人たちは全員合格〜」
「次の第三試験に向ってね〜」
「第三試験が最終試験になるよ〜」
「僕たちはここでお終い、次の試験官によろしくね〜」
また合格できたな。次が最終試験か。いったいどんな試験なのだろうか?
「やったー!蒼蒔!また合格だ!」
幽姫がぴょんぴょんっと跳ねて喜ぶ。
「やったな!消気を使うって言う幽姫の助言がよかったぞ!」
「ううん!蒼蒔が跳んだのがすごかったよ!」
幽姫と手のひらを合わせて喜び合う。
「最終試験は毎年死者が多いから気をつけて、、」
帰り際に蛍が言った言葉が俺たちを身構えさせた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます