第28話 月巫女編 初任務
入団式から2日後の昼、俺と幽姫が一緒にお昼ご飯を食べていると、部屋の扉が開けられた。
「蒼蒔!幽姫!初任務だ!団長室に来い!」
一花が呼びに来てくれたようだ。
よっしゃあ!!俺たちもついに初任務か!!何でも来やがれってんだ!
「ブルブルブルブル、初任務か〜、ブルブル、僕行きたくないなーブルブル」
「大丈夫だって!俺も一緒だからさ」
震える幽姫に微笑みかける。
「うーん、でも蒼蒔と一緒なら大丈夫かも、へへ」
幽姫がニッコリと笑顔を向ける。
「お前らは相変わらずイチャついているのだな」
俺たちの先を歩いていた一花が俺たちの方を見て呆れたように呟く。
「べっ別にイチャついてないし!」
否定する俺だったが幽姫が俺の腕にしがみついてくる。
「蒼蒔とイチャイチャ!蒼蒔とイチャイチャ!」
「みんなに勘違いされるから離れよう!」
「ふふふ、私は別にお前たちがそういう関係でも構わんが」
「だってよ〜蒼蒔〜」
「いやいや違うから!大丈夫だから!」
話しているうちに団長室の前まで来たようだ。
「失礼します。一花です。2人を連れてきました。」
「ご苦労であったな。他はもうみんな来ておるぞ。」
団長室に集まった剛善武人、源一花、千早稲蒼蒔、白雲幽姫、と他6人の隊士。
団長が任務の説明を始める。
「これからお前達には出雲へ行ってもらう。簡単に言えば護衛任務じゃ。」
「いったい誰を護衛するのですか?」
一花が訊く。
「本名は【
「どうしてその巫女さんを遠くはるばるここへ連れてくるんだ?」
剛善が訊く。
「誰に教わったわけではなく、その子は生まれつき怪気が使える体質じゃったらしい。
満月の夜にその怪気を使って占いをすることで、今どこにどれほどの怪気を持った怪異物がいるのかを知ることが出来る能力を持っているらしいのじゃ。」
怪手道を学ばずに生まれつき怪気が使える子がいるのか!
「つまり、その子の占いを使えば怪異物たちの本拠地、そして怪異物たちの王がどこにいるのかを知ることが出来るのじゃ。」
なるほど。全員が頷く。
「怪異物はどれだけ殺しても数が減ったようには感じない。むしろ近年増えているようにも感じる。雑魚をどれだけ狩ってもその場しのぎじゃ。怪異物を支配している王と王を護る王属怪異十會を滅ぼさなければわしらの戦いは終わらない。もう何百年も王の居場所を探しているが今だに手がかり一つ掴めていないのじゃ。この能力はわしらにとって希望の光以上のものじゃ。」
怪異物たちを統べる王か、、。
「怪異物たちに巫女の能力のことが知られれば間違いなく巫女を殺しにくるはずじゃ。その前に彼女を本部でかくまう必要がある。」
たしかにな。怪異物にとって巫女の存在は邪魔だわな。
「今回の任務は今後の戦況にも影響する絶対に失敗の許されない任務じゃ。
だから桜華衆から剛善と一花の2人を向かわせることにしたのじゃ。」
剛善さんと一花って桜華衆だったのか!?
そりゃー2人から強い気配がぷんぷんするわけだぜ。
剛善さんは俺たちを見渡して言う。
「あまり人数が多過ぎても敵に見つかりやすくなるだけだからな、ちょうどいいと思うぜ。ただ入ったばかりの新人がいるようだが大丈夫か?」
「その2人なら大丈夫だ。私が保証する。」
一花が答える。
「そうか!一花がそういうのなら間違いないな!」
剛善さんは納得したように俺と幽姫の肩を叩いた。
「剛善、一花、隊のみんなを頼んだぞ。必ず全員無事で帰ってくるのじゃぞ。」
俺たちが扉から出ようとした時に団長が心配したように言葉をかける。
「じぃさん心配しなくたって大丈夫だ!俺が全員護ってやるからさ!全員無事で帰してやるぜ!」
剛善は胸を張った。
隊長は剛善武人、副隊長は源一花が務め、合計10人の小隊が出雲に向けて出発した。
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