第12話 入団試験編 作戦変更

「舐めんなよおお!!」

一玄が蒼蒔に殴りかかる。

【剛石流・いちの手・岩石がんせきき】

拳に怪気を込めて石のように硬くした突き。

「ハハ!亀さんぐらいノロイぜ!」

蒼蒔に余裕で躱されて、顔面への蹴りがモロに決まる。

「ブゴッ!!」

倒れそうになったのをかろうじて耐えた一玄。

顔を押さえていた隼音が背後から打ち込んでくる。

「これは避けられないだろ!」

【残音流・さんの手・残響連撃ざんきょうれんげき

シュパシュパシュパシュパッ!!

高速の突きの連打。

しかし蒼蒔はそのすべてを手で受け止める。

「なあんだ、2人ともこんなもんかー分家も大したことねーな」

すでに肩で息をしている2人に対して蒼蒔は余裕な表情で立っていた。

「はぁはぁ、この野良野郎なかなかやるな、、おい、作戦変更だ、先にガキの方をやっちまおうぜ」

蒼蒔に勝てないと理解した一玄と隼音は離れたところで3人を見ていた幽姫を攻撃することにした。

幽姫の方へ駆けていく2人。

「あっ!汚ねえぞ!」

「へっ!ガキが戦闘不能になれば俺たちの勝ちなんだよ!」

「えぇ!?僕の方に向かってきてる!ひぃいい!!」

逃げる幽姫。

「幽姫!お前も構えて戦うんだ!」

「蒼蒔ぁー!!無理だよー!僕戦えないんだよーー!!」

2人の攻撃をかろうじて逃げて避けている幽姫。

やばいな、幽姫を守らなければ!

2人から幽姫を庇うように前に立つ蒼蒔。

「幽姫!俺の背に隠れてろ!」

「ガタガタガタガタ、はぃぃぃ!」

2人に対して構える蒼蒔。

藍色の怪気が身体から噴き出す。

【千年裏真流・の手・紅葉賀もみじのが

ダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!

蒼蒔の無数の連撃が2人に浴びせられる。

全身を打ち付けられた2人はその場でバタリと倒れ込んだ。

「そこまで!!!」

剛善の試合終了の合図が響く。

「勝ったな」

「すごいよ!蒼蒔!1人でやっつけちゃうなんて!」

蒼蒔の背中に隠れながら喜ぶ幽姫。

「ハハ、これで第一試験は突破だ!」

「うん!怖かったけど蒼蒔が守ってくれて嬉しかった!」

まったくこの子はここに何しに来たんだか。

「幽姫も怪手道使いなら戦うんだぞ〜」

「うーん、僕は戦えないんだよねー」

エヘヘっと恥ずかしそうに笑った。

幽姫をこの試験に送り出した師範は何を考えてるんだか。

「アハハ、まあいいか!俺が守ってやればいいだけの話だもんな!」

「おお!!蒼蒔すっごく男らしい!!」

幽姫にキラキラとした目で見つめられて照れる。

こいつ本当に女の子にしか見えねえな。

無意識にヨシヨシと頭を撫で撫でしてしまった。

「蒼蒔ぁ〜子供扱いしないでよぉ〜」

「あっ悪りぃ悪りぃ、つい」

その後、7試合が終わり第一試験が終了した。

「第一試験を突破した者はこれから第二試験場に向かってもらう!そこには次の試験官がいるからそいつの指示に従うように!俺は以上だ!」

剛善に次の試験場の場所と日時を聞いて蒼蒔と幽姫は第一試験場を後にした。

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