第20話 入団試験編 毒蛙
山に入ってから1日目の夕方。
再び怪異物が襲って来る気配がした。
幽姫を避難させると俺は戦闘態勢をとる。
「ゲコ!ゲコ!ゲコ!ゲコ!ゲコ!」
現れたのは巨大で紫色の2匹の蛙のような怪異物だった。
「次は蛙か!美味いんだよな!鶏みたいでよぉ!」
蛙は蒼蒔に狙いを定めると長い舌を2本同時に高速で伸ばしてきた!
【千年裏真流・
蒼蒔は2本の舌を舞うように躱す。
後ろにあった木に舌が当たるとドロドロと溶け出した。
くっ!毒か!触れるのは危険だな!
舌で蒼蒔を仕留められなかった蛙はプクーっと風船のように膨らんだ。
なんだなんだ!?
プシュッ!!
2匹の蛙から空気が抜けたかと思うと蛙の体にたくさん付いているイボから無数の毒液が飛んで来た。
なんて量飛ばしやがる!!
【千年裏真流・
花が風に揺られてヒラヒラと舞うように一つ一つの毒を避ける蒼蒔。
毒を避けながら一気に間合いを詰める!
あの体に直接触れるのはマズいんだよな。
【千年裏真流・
蒼蒔の突きから怪気が伸びて蛙の顔をぶん殴る!
これなら直接触れてねえから毒は関係ねえ!
もう一匹の蛙が蒼蒔の隙をついて幽姫の方へ毒を吐き出した!
「やばい!幽姫!」
「えっ!えっ!」
ダメだ!避けられない!当たる!
ビシャアッ!!
毒液が当たる。
幽姫が目を開けると蒼蒔が幽姫に覆い被さるように護っていた。
「そ、うま!」
「だ、大丈夫だ、幽姫心配すんな」
毒液は蒼蒔の背中に直撃していた。
瞬間的に背中に怪気を集中させて防いだが背中の皮膚が溶けて血が滲んでいた。
「ゲーコゲコゲコゲコ!!」
蛙は高笑いするかのように鳴いた。
「蒼蒔、僕を庇って、、うぅ、」
幽姫は涙を流していた。
「泣かなくていい、幽姫、男の子だろ、それに絶対に護るって約束したからな」
【千年裏真流・
蒼蒔は一瞬で蛙の目の前まで間合いを詰めた。
【千年裏真流・
バシュッ!!
残り一匹の蛙の頭を吹き飛ばした。
「これで4匹倒したぜ」
幽姫が蒼蒔に駆け寄る。
「早く手当しないと!」
自分の着物を破いて蒼蒔の傷に巻く。
「大丈夫だ、ほらもう血も止まってる。俺は昔から傷の治りが早くてな。そういう体質みたいだ。」
心配する幽姫の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「さっきの蛙は強かったな。おそらく怪異度数5はあるだろう。」
木の上から見ていた一花が言った。
「残り一体だな、手負いみたいだが試験を続けるか?」
「当たり前だ!ここまできて辞められるか!」
「ふふ、いい心意気だ」
「幽姫、最後までやりきって2人で合格しような」
「うん!ありがとう蒼蒔!」
3人が再び森を進もうとした時、南の方角から男性の叫び声が聞こえた。
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