第19話 入団試験編 大土竜

山の中を進む蒼蒔と幽姫。

2人を木の上から見ている一花。

っ!!怪異物の気配が足元からする!!

「幽姫跳べ!!」

「はひ!」

2人が跳んで避けると地面を突き破って怪異物が襲いかかってきた。

13尺3寸(4m)ほど、全身が毛で覆われ目は退化して無いが、土を掻く長い爪があり巨大な土竜のような怪異物であった。

初めの一撃で仕留められなかったと分かると再び地中に潜っていった。

地面の下から攻撃する類の怪異物だな。

「幽姫は木の上にいな」

「うん!分かった!」

木の枝に跳び乗る幽姫。

地面から攻撃してくるなら殺り方は簡単だ。

攻撃するために地表に出てきたところを叩けばいい。

「さあ来い!俺はここだぜ!」

地下から怪異物が上がってくる気配がする。

まだだ、まだ引きつけて。

「今だ!!」

怪異物が地表に顔を出し、長い爪で引っ掻いて来ると同時に跳び上がって避ける。

【千年裏真流・きゅうの手・絵合えあわせ

大土竜の脳天に拳を振り下ろす!

グシャアッ!!

大土竜の頭部を砕いて倒す。

「これで2匹目。」

「やっぱり強いね!蒼蒔は!」

幽姫が木から降りて来る。

「今のやつも怪異度数3だな」

一花がため息をつく。

「はぁ、こうもあっさり倒されると見ていてつまらんな」

「別に楽しませるためにやってないぜ」

「私は色々な流派の隊士を見てきたが千年裏真流という流派を見たのは初めてだな、いったいどこで学んだんだ?」

「俺はじいちゃんから教えてもらった。弟子は俺一人だけだったぜ。」

「そうか名も知らぬ流派でも強いものがあるのだな。はっきり言って強いよ。今回の参加者の中でも特にね。」

「きっとあんたほどじゃないぜ。」

この一花という女性はすっごく強い。そんな気配がする。

「はは!そうかな?私は楽しければ何でもいいのだが」

俺たちは話しながら山道を進んだ。まだ試験が始まってから半日も経っていない。このまま順調に進めばいいのだが。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る