第33話吹き荒れる砂漠

「次に調査する場所は一体どこなんでしょうね勇者様」


『馬車に乗る前に行く場所がどういう場所なのか聞くの忘れてましたね』


そんな話をしていると場所を掃除してくれている男の人がこう教えてくれた。


「今から行く場所は街も何もないただの砂漠だよ」


「そこにはどんなモンスターがいるんですか?」


ナギが尋ねる。


「俺は冒険者じゃないからその場所に送り届けたことがあるぐらいで詳しいことはよく分かんないんだけど聞いた話だとその砂漠にはたくさんのモンスターが生息するらしい」


「あんた達は凄腕の冒険者らしいからそんなに心配はいらないかもしれないけど十分気をつけて行動してくれよ」



「わかりました」


そんな話をしているといきなり風が強くなり場所がガタガタと揺れる。 



「だんだん風が強くなってきたの」



男の人が少し困ったようにそう言った。


「無事に目的の場所までたどり着けますかね」


不安を含んだ口調でナギが言葉を返す。


「確かにこのままだとまずいななるべく急ごう」


そう言って馬の走るスピードを少し早める。


目的地の砂漠まで近づいてくると強い風と一緒に砂が飛んでくる。


「このまま風の勢いが強くなると砂のせいで前が見にくくなる」


しばらく、すなが吹き荒れるのか 進んだが、男の人がさっき言った通り風が強くなりすぎて進めなくなってしまった。


「悪いけど馬車じゃここまでが限界だあとは歩いて行ってくる」


「わかりました ここまでついてきてくれてありがとうございます」  


そうお礼を言いつつもそもそもどこに行くのかわかっていなかったため対策らしい対策をしてきていない。


吹き荒れる砂漠の中を歩いて進むのはかなり難しいだろう。


そう思いながら受付の人にもらった大きな巾着袋を開けてみる。


するとこうなることをあらかじめ想定していたのかその中にはフードがついた服が三つ入っていた。


その服を上から身につけてもう一度お礼を言ってその馬車から降りた。


僕達はその風に耐えながら一歩一歩足を進めていく。



さっきからかなり足を進めているがあの男の人が言っていた通り本当に何もないみたいてさっきから周りの景色がちっとも変わらない。


「勇者様大丈夫ですか?」


「うん大丈夫ではあるんだけど、吹いてる風が向かい風だから余計に進みにくい」


そう言いながらも何とか頑張って足に力を入れて確実に前に進んでいく。


その風の勢いが少しおさまったところでモモさんがふと空に顔を向ける。


「薄気味悪いですね」


空に広がっている雲は なんだか毒々しい色をしていて少し不気味だった。


『前にモモさんの村に行った時に広がってた雲の色と似てますね』


「私の村に広がってた雲よりも若干色が濃くなっているような気がしますけどね」


「奇妙な雲と麻薬って何か関係があるのかしら」


ナギがそんな疑問の言葉を口にする。


『今のところそれは分からないけどとりあえず今は足を進めるしかないんじゃない』


「そうですねナギさん」


それからさらに足を進めるがやはりなかなか周りの景色が変わらない。


「あのかなり歩いたと思うんで1回休憩挟みませんか?」


息切れしながらモモさんが言ってくる。



「ずっと歩いてて私も疲れたしここら辺で1回休憩挟みましょうか」


それから僕達は安全に休憩をするための場所を探した。


「あの木だった大丈夫そうですしあそこの陰に隠れて休憩をすれば いいんじゃないですか?」


他にいい場所を一応探したがここ以外に休める場所がなかったので、モモさんの言うとおりそこで休憩をすることにした。


少し休憩をして再び歩き始めた。


引き続き足を進めていると吹き荒れる砂のせいでちゃんと確認はできないが何かがそこにあるのがわかった


『なんだろうあれ?』


慎重にその何かわからないものへと近づいていく。


するといきなりなぜか僕の体が自動的にその何かわからないものに向かって動き始めた。


『この感覚は魔王にかけられた呪いのせいか!』


僕の体は止まることなくそれに突っ込んだ。


するとグサッと何かに刺さった感覚があった。


『いてぇーーー!!!』


『大丈夫ですか勇者様?』


「ヒール」


何に刺さったのかと思い目の前に視線を向けてみるとそこにはサボテンがあった。


「これで怪我は治ったと思いますけどどうですか勇者様まだ痛みはありますか?」


「ありがとうございますモモさんおかげで治りました」


「さっき勇者様魔王の呪いのせいだって言ってましたけど、どういう意味なんですか?」


『あ、あのことですか僕は魔王に殺される前に三つの呪いをかけられたんですよ』


それから僕達にかけられている呪いの事について少し簡単に説明した。


『あれ、でも、モモさんって僕の心が読めるんじゃなかったでしたっけ?』


「勇者様が頭の中で考えていることなら分かるんですけど、頭の中で考えていないことは私にもさすがに分からないです」


「そもそも私が忘れてるって可能性もありますしね」


「なるほどナギさんに育児をしてもらっているのはその魔王にかけられた呪いが原因なんですね」


ようやくわかったと言わんばかりに納得の言葉を口にする。


「逆にそれ以外の何だと思ってたの?」


「いえお2人ともそういうプレイが好きなのかなと思って」


「モモさん私達の頭の中が読めるんだからそうじゃないことぐらい分かるでしょう!」


怒りがこもった口調で返す。



「ただの冗談ですよそんなに怒らないでください」


軽く言葉を返す。


「さすがに何か理由があるんだろうなと思ってましたよ」



「でももし本当にそういう特殊プレイだとしたら私には止める理由もなかったですしそれならそれでいいかと思ってました」


「私とクラリスがそんな特殊プレイをするわけないでしょ!」


『ていうかモモさんの場合最初から全部気付いてたような気がするんですけど』


「私はそんなに頭が良くないのでまったく気づきませんでしたよ」


いつものいたずらっぽい笑みを浮かべてそう言葉を返してくる。


その顔を見て僕は逆に確信したやっぱり全部最初から気づいていたということに。


「こんなところにずっと立ち止まってても仕方がないですし足を進めましょう」


あからさまに話をそらすようにそう言って前の方へと足を進める。


僕達はモモさんの横についていく。



しばらく足を進めていると地面の砂がいきなりものすごい勢いで回転して僕達はその砂の中へと引きずり込まれていく。


「何これいきなり!」


『大丈夫ナギ!』


『モモさんも大丈夫ですか!』


「私も砂に足が取られて身動きが取れません勇者様!」


『確かにモモさんの言うとおり砂に足が取られて身動きが取れない!』


『どうにかしないとこのままじゃ 砂の中に引きずり込まれていく!』


どうにかする方法はないかと考えていると 渦を巻いている砂の中から何かが出てきた。


「何なのあれは!」


ナギが驚きの声を上げる。


その砂の中から出てきたものを見ようと そっちの方に目を向けるが砂ぼこりのせいでよく見えない。


砂埃が消えるのをしばらく待つとそこにはサソリのような形をしたモンスターがいた



(後書き)


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「今後一体どうなるのっ……!?」


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このお話は人気があれば続きを書こうと思っています。

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