第7話新たなる力
受付の人がなぜか僕の手の甲に視線を向けてくる。
すると何かを確認するようにその手の甲を覗き込む。
「これはもしかして剣の勇者の
驚きの声を上げてそう行ってくる。
『そんなわけはない確かに勇者ではあるけど正式な勇者じゃない』
『言ってしまえば人数合わせのために呼ばれた仮の勇者だ』
だから僕は正式な勇者ではないし周りの人達と比べると圧倒的に力が劣っていた。
「なんだって!」
受付の人と同じように周りにいる人達が驚きの声を上げる。
「バカ言っちゃいけないお姉ちゃんこんなところに勇者様がいるわけないだろう」
「それに今勇者様達は魔王との戦いでまだ戻ってきてないんだから…」
酔っ払った男の人がそう言いながら僕の手の甲に視線を向ける。
「マジででも本当に!」
男の人が何かを確認するようにそう言葉を口にする。
「えーーー!!!」
そう今更のように驚きの声を上げる。
「何だ何だ何がそんなに凄いんだよ」
今までテーブルに座ってお酒を飲み交わしていた人達が次から次へと僕達の方に集まってくる。
それぞれ僕の手に視線を向けて覗き込む。
「本当だ間違いなく本物だ!」
僕の手を見て口を揃えてそう言った。
「ついさっきまでこんなものなかったんですけどね」
ナギがそう言うと受付の女の人がこう話し始めた。
「確か私が前に聞いた話では3000年前に剣の勇者は仲間がピンチになった時その仲間を守るため、その勇者の紋章の本来の力を発揮したと言うって聞きましたけど?」
『誰かを守ろうとした時?』
『ナギを守ろうとした時か!』
『確かにあの時体から今まで感じたことのない力がみなぎってくるのを感じた』
『でもそうなるとなんで転生前は勇者としての紋章の力を全く使えなかったんだろう?』
「もしそのお子さんが本当の勇者だったとしたら紋章が腕に浮かび上がってきて力が跳ね上がってるはずですよね?」
「念のためにもお子さんの力をもう一度この魔石で測らせてもらってもいいですか?」
「ええ別に構いませんけど」
僕はさっき行った時と同じようにナギに抱っこされた状態でその魔石に手を伸ばしゆっくりと力を注いでいく。
するとさっきよりも魔石が放つ光が強くなっていく。
いきなり魔石にヒビが入ってその破片が周りに飛び散った。
周りにいた人たちはそれぞれ驚きの声を上げる。
「また魔石が壊れたー!」
「とりあえずギルド長と相談してきます」
「すいませんお願いします」
「話し合いが終わるまで少し時間がかかると思うのでナギさん達はそこの椅子に座って待っててください」
受付の人に言われた通り椅子に座って待つことにした。
『多分魔石が元々壊れてたんじゃないのかな?』
『たぶんそれはないわよ』
少し力強い口調で総会してくる。
『私はどれだけクロリスがいじめられても頑張って一人でも修行してたことを知ってる』
『どれだけあいつらにけなされても努力を辞めなかったことを知ってる』
『だから私にとってクロリスは…』
「て何言わせんのよ!」
何も言っていないのになぜか怒られてしまった。
「どうなるんだろうなあの赤ん坊」
「今まで俺が生きてきて全ての力を測定するための魔石が壊れたなんて話を聞いたのはこれが初めてだよ」
「そんなの普通そうだろこんなことが起こるなんて普通ありえない」
「でもまぁ、魔石の調子が悪かったっていう可能性もあるからな」
何人かの男の人達が僕のことについて色々話しているようだった。
それからしばらくすると受付の女の人がカウンターに戻ってきた。
「ギルド長と話し合った結果そのお子さんを冒険者として認めランクは
「それからあともう一つ いつになるかは分かりませんが私とお話をしましょうと言っていました」
「特例のSSSランクだって!」
「ランクってEランクからSランクまでじゃなかったか」
「だから特例なんだろう」
ナギがクエストクリアの報酬を受け取りそのギルドから出た。
そして宿に戻り払い忘れていたお金を受付の人に渡して自分達の部屋に向かった。
『もう夜だね』
外の景色を見ながらなんとなく心の中でそう言った。
『あそうだ!念のためにステータスの確認をしておこう』
ステータスを開く。
《2000万1125》
《MP2000万1095》
《攻撃力2000万1055》
《防御力2000万1044》
《勇者の加護勇気》
《呪い3つ》
「何この数値私の2倍じゃない!」
ナギが覗き込みながらそう言ってくる。
この数値を見て一番驚いていたのはおそらく僕自身だろう。
『でもなんでいきなりこんなステータスの数値が跳ね上がったんだろう!』
「たぶんクロリスが戦うための勇気を出したからじゃない?」
「私にはよく分かんないけど」
『転生前は手に紋章なんてなかったってことは僕はまだあの時眠っている力を扱いきれてなかったってことか?』
考えてみてもなかなかそれらしい答えが出てこないが別にそれで良いかと僕は思った。
無事にナギを守ることができたから。
「戦いで汗もかいたしお風呂に入りましょうか」
僕達はお風呂に向かった。
僕は自分で体を拭けるかどうか不安だったがなんとか上の方はほとんど自分で洗うことができた。
自分で入ることができないかと思っていたが腕の力は弱体化しているわけではないのでなんとか入ることができた。
だがその次の瞬間。
この体のサイズ感に慣れていないせいか足を滑らせて溺れてしまった。
慌てて足をジタバタさせるが体に力が入りなおさら溺れてしまう。
「クロリス!」
少し遠くの方で体を洗っていたナギが慌てて掬い上げてくれた。
『ありがとうナギ』
「仕方ないわねまた溺れられても困るし一緒に入りましょうか」
ため息まじりにそう言った。
「その代わり変なこと考えないで」
『なるべく努力する』
本当だったら絶対大丈夫って言ってあげるのがいいのかもしれないがさすがに変なことは考えないとは言い切れなかった。
ナギは体に1枚タオルを巻いているし大丈夫だ自分に言い聞かせる。
何の保証にもならないか。
ナギはゆっくりとお風呂の中に入ってくる。
すると僕を自分の膝の上に置く。
『あの…すいません何で膝の上なんですか?』
緊張した口調で思わず
『だってまた溺れたりしたら大変でしょう』
『それはそうなのかもしれないけど』
僕はそんな何とも言えない緊張感に耐えながらしばらくお風呂に入った。
《300ポイントを取得しました》
お風呂から出て部屋に戻る。
「疲れたし今日はもう寝ましょうか」
『そうだね僕も今日は疲れたよ、いろんな意味で』
僕達はベッドに入って寝ることにした。
『はぁ今日は濃い1日だったな』
「そうね慌ただしい1日だった」
そう言いながらナギが寝返りを打とうとする。
するとナギの肘が僕の体に勢いよくぶつかりそうになった。
僕は慌ててそれを避ける。
「あ!ごめん大丈夫だった」
申し訳なさそうにそう言ってくる。
『あ大丈夫大丈夫気にしなくていいよ』
そう言うと僕の手を優しく握ってきた。
『ナギ!』
「こっちを向いてればもう危なくないでしょう」
『そうだね…』
(後書き)
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このお話は人気があれば続きを書こうと思っています。
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