第29話自ら勇者と名乗る者達

「残るはあなただけですよ」



モモさんがゆっくりとリーダー的な男の方に顔を向けながらそう言った。



僕は手に持っている剣を構えなおし、ゆっくりとその男との距離を詰めていく。




「俺も舐められたもんだな」



「相手にガキ1人で十分だと思われるなんて」



「俺を舐めるのも大概にしろ!」



怒りがこもった口調でそう言って 剣を振り下ろしてくる。



冷静にその攻撃をかわし距離をとる。



「おっと!一歩もそこから動くんじゃねーぞガキが 少しでも動いたらこの2人の命はないと思え」



勝ちを確信したような笑みを顔に浮かべて、手に持っている剣を小さい女の子の頬に突き立てる。



「ほらほらどうしたこいつらを助けないのか?」



「あ、そっか助けないんじゃなくて助けられないのか」



「やっぱりいくらガキが武器を持ってたとしても力がないと意味ないもんなははは!!!」



大笑いしながら心の底馬鹿にした口調でそう言ってくる。



「いくらなんでも1人で人質2人を助けられるわけないんだから、そこにいる2人も協力してやったらどうだ」




「いいえ私が勇者様にわざわざ手を貸す必要なんてありませんよ」



「は?それってどういう意味だ」



リーダー的な男が喋っている間に僕は距離を素早く詰め、剣を振り下ろし、目に入るギリギリのところで剣を寸止すんどめした。



「ひーい!」



そう驚きの声を上げて腰を抜かす。



『さっきからなめてるのはお前の方だ!』



その剣の先をゆっくりと目に近づける。



「止めてくれ俺はまだこんなところで死にたくない!」



そう言いながらしりもちをついた状態のまま一歩一歩敵は後ろに下がる。



「頼む頼むよ」



命乞いでもするかのように。



だが僕はその言葉をいっさい無視してじわじわとその剣の先との距離を近づけていく。



「あ、あ、あ、」



目と剣との距離がほぼゼロになったところで、 そのリーダー的な男は口から泡を吹いて倒れた。



「意外と思ってたよりもあっけなかったわね」



ナギがほっとした口調でそう言った。





僕が持っている剣で2人の鎖を切った。



「大丈夫?」



ナギが優しい口調で女の子に呼びかける。



するとゆっくりと目を開けて横を向く。



「あ!お母さん」



「なんでお姉ちゃん達がここに居るの?」



少し遅れて 僕達がいることに気づき疑問の表情を顔に浮かべながらそう聞いてくる。



「お姉ちゃん達があの強い敵を倒したの?」



倒れている男の方を見ながらそう言った。



「そうだよだから安心して」



すると横にいるお母さんが少し遅れて目を覚ました。



「あなた方はあの人達の仲間ですか?」



困惑の表情を顔に浮かべながらそう聞いてくる。



「私達はお母さんを助けに来たんですよ」



それからモモさんがどうしてここまで助けに来たのか説明した。



「そうでしたか娘をここまで助けに来て頂いてありがとうございます」



「それで聞きたいことがあるんですけど?」



ナギが少し丁寧な口調でそう尋ねる。



「はい何でしょうか?」



「大体この村で麻薬が流行り始めたのっていつ頃からですか?」



「他の街では結構前から流行ってはいたんですけど、この街で流行るようになったのは少し前ですね」



「なんでも村にフードをかぶった何人かの人達が来て、その麻薬を元気になれる薬草だと言って売りさばいたらしいです」



「私はその時その場にいなかったので詳しいことは何も分かりませんが」



「あ!後 その人達自ら 仲間の1人の人をこの人は 勇者だと言っていたらしいですよ!」



「でもそのすぐ後でその勇者様だと言われていた人が その人の事を1回黙らせたみたいですけどね」



「この話は全部私が後から聞いた話なんで何の証拠もありませんが」



「なるほどわかりました教えてくれてありがとうございます」



それからそのアジトに麻薬が隠されているのではないかと思い調べたところやはり麻薬の葉っぱがいくつか出てきた。




それから僕達はギルドに戻り受付の人に麻薬の葉っぱを渡した。



「まずは極秘任務を無事に達成して頂いてありがとうございます」



そう言って深々と頭を下げる。



「それではこれが極秘クエストの報酬です」



その巾着袋の大きさと膨れ上がりかたでとんでもない金貨の枚数が入っていることが分かる。




「これが私の今回のミスでプラスされた報酬です」



「本当に申し訳ありませんでした」



そう言いながらもう一つの巾着袋をカウンターに置く。



恐る恐るその 少し小さい方の巾着袋を開けて中を見てみる。



「その袋には金貨1000枚が入っています」



「ダメですよこんなにもらうわけにはいきません!」



ナギが慌てた口調でそう言ってその袋を返そうとする。



「いえいえ今回の件は私の完全なミスなのでお気になさらないでください」



「でもそういうわけには…」



「こうでもしないと私の気が済まないんです!」



「そうですか…そういうことでしたらありがたくいただいておきますね」



「是非そうしてくださいそうして頂けた方が私もありがたいです」



続けてその隣にある大きい巾着袋を開けてみる。



「その袋の中には金貨6000枚が入っています」



「えーーー!!!金貨6000枚!」


『えーーー!!!金貨6000枚!』



まずその金額の大きさに僕達3人同時に声を上げてしまう。



『金貨1000枚って言われた時も十分びっくりしたけど6000枚って』



「さすがにこの金額は何かの間違いじゃ」



震えた声でナギがそう言った。



「いいえあなた方はこの金額に見合うだけの働きをしてくれましたなので受け取ってください」



「そうしないと私がギルド長に怒られてしまうので」



冗談まじりの口調でそう言ってくる。



「そういうことでしたら分かりました」



そう言いながらナギが大きい方の巾着袋を持つもう一つ小さい方をモモさんに渡す。



そのままギルドを出るのかと思ったが ナギがその巾着袋をカウンターの上に置いた。



「そうだ話そうと思ってたことがあったんだ!」



それから1人の女の子とお母さんが悪い奴らに捕まっていたこと、自らを勇者だと名乗って麻薬を売りさばいていたことを受付の女の人に話した。



「わかりました教えていただいてありがとうございます、その件についてはこちらで調べてみますのでどうかこのことは一般の方々には引き続き秘密にしておいてください 」



「はいわかりました」



そう言って返事を返し カウンターに置いた大きい巾着袋を再び待ってギルドを出た。



「さすがにこのお金を 部屋に持って帰るわけにもいかないですし一旦預けましょうか」



「それもそうねこんだけ大量にあると下手に持って歩くわけにもいかないでしょうし」



僕達はその預ける場所までしばらく歩いた。





「けっこう人並んでますね」



モモさんが辺りを見回しながらそう言った。



「クエストクリアしてお金を預ける期間じゃない?」



しばらく順番が来るのを待った。




「今持ってるお金で足りると思うからこの巾着袋に入ってるお金一旦全部預けちゃっていい?」



確認の言葉を投げかけてくる。



『うん僕はそれでいいと思う』



「勇者様がそれでいいなら私もそれでいいと思います」



「それじゃあこのお金全部預けちゃいましょうか」



「次の方どうぞ」


お金を全部預けた後僕達はギルドに戻った。



(後書き)


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後一体どうなるのっ……!?」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星3つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


何卒よろしくお願いいたします。




このお話は人気があれば続きを書こうと思っています。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る