第11話想像力

なんとかモンスターの体勢を崩すことはできたがすぐに立ち上がってしまう。


僕達は一旦距離をとる。


『なんとかダメージを与えることはできてるんだけどかなり攻撃してやっと怯んだか』


再びモンスターが炎の玉のようなものを飛ばしてくる、しかもさっきよりも大きい。



その攻撃をなんとか避ける。


『このままずっと戦いを続けてたら体力勝負になっちゃう』


『どうにかして早く決着をつけないと』


『モンスターの弱点みたいなのがあればいいんだけどどこにあるんだろう?』


『私がモンスターに近づいて攻撃をしようとした時は弱点らしいところは見当たらなかったけど』


『いやきっと弱点がどこかにあるはずなんだ』


そう思いながらモンスターの身体全体を見る。


『もしかしたらモンスターの目が弱点かもしれない』



単なる希望的な憶測でしかないが、他のかたそうな体の部位と比べると攻撃は通りやすそうだ。


『それで問題なのはどうやってあのモンスターに近づくかだ』


いくらモンスターの弱点がわかったと言っても近づいて攻撃ができなければ意味がない。


もちろんモンスターだって自分の弱点ぐらい分かっているだろうし、そうやすやすと近づかせてくれるわけはないだろう。


『何かモンスターに近づくための作戦を練らないと!』



そう思いつつ何も作戦を思いついていないにも関わらず、攻撃をしようとする。


それからしばらく攻撃しては距離を取り 攻撃しては距離を取りというのが何回か続いた。


そのモンスターの攻撃を避けつつどうやって弱点に向かって攻撃をするかを考えていた。


『そもそもモンスターにどうやって攻撃をするかが問題だ!』


『もちろん僕の拳で殴って攻撃をするというのもできなくはないと思うがそれではとどめの一撃にならないような気がする』


せめて僕も武器を持っていたら話はもう少し変わっていたのだろうが。


『武器!』


『そうだこの方法なら!』


『ナギ!魔法で僕に合った武器を作ってくれ!』


「でもなんでいきなり私武器なんて作ったことないわよ!」


『いいから早く武器を作るまでの時間は僕が稼ぐから!』


「わかったやってみるその代わりモンスターの相手頼んだわよ!」


『うん!』


『破れた服を頭の中で物質を想像して魔法の力で治せるんだったら頭の中で剣の形を想像して作り出すこともできるはず』


『だから僕はナギが武器を作り終わるまで近づけさせなければいい』


さっきよりも走るスピードを上げてモンスターの意識を僕の方に向ける。


するとすぐに僕との距離を詰めて来ようとする。


『接近戦で確実に倒そうとしてきてるのか』


お互いに攻撃しては避けて攻撃しては避けてというのがしばらく続いた。


するとそのモンスターが右手に大きな炎の玉を作って左手には光の大きな玉を作り二つの球を一つにまとめて融合させる。



するとモンスターがその玉を投げつけてきた。


後ろにジャンプしてその攻撃を避ける。


するとその大きな玉は少し遅れて爆発した。


ドドドドンという大きな爆発音が再び周りに鳴り響く。


今までの攻撃で一番大きい爆発だった。


なんとかその攻撃を避けきることができたが地面に少し遅れて青く光る電流が流れる。


『危なかったあともう少しあの地面に近かったら感電して動けなくなってたかも』


『そうだナギは!』


急いでナギの方に顔を向ける。



すると無事に攻撃を避け僕の武器を作ることに専念してくれているようだ。


ほっと胸を撫で下ろした後再びモンスターのほうに顔を向ける。


距離を詰めて攻撃をしてくるのかと思ったが僕に対して攻撃をするのではなく、ナギとの距離を詰めて攻撃をしようとする。


『ナギ!』


攻撃を避けることができずモンスターが首を閉めようとする。


それと同時にナギが手に持っていた剣を地面に落とす。


『ナギを助けないと!』


すると僕の手の紋章が強く青い光を放った。



そのモンスターの右足に向かって勢いよく頭突きをするように突っ込んだ。 


その頭突きの攻撃は見事にモンスターの右足に直撃してバランスを崩した。


僕は起き上がる隙を与えないように拳で モンスターの顔面を間髪入れかんぱついずに殴り続けた。


だが振り落とされてしまう。


すかさずナギがさっき地面に落とした剣を拾い構える。


そのモンスターも僕のさっきの連続攻撃を食らったからなのか、かなりダメージが蓄積しているようで足がふらついている。


『さっきみたいに強くモンスターに突っ込んでまたバランスを崩させるか』


『いやモンスターもその攻撃には十分警戒するだろうし同じ手は効かないはず』


『だけどモンスターを確実に倒すためには僕が今持ってるこのずば抜けた身体能力を生かすしかない!』


そう考えをめぐらしているとモンスターが僕に向かって勢いよく拳を振り下ろしてくる。


『今だ!』


僕はモンスターが振り下ろしてきたその腕の上に乗り一気に駆け上がる。


『これで終わりだ!』


手に持っている剣をそのモンスターの大きな目玉に向かって勢いよく突き刺した。


「うおおおーーー!!!」


それと同時にモンスターが大きな唸り声を上げる。


「無事に倒せたみたいね」


僕達はそのモンスターの素材を回収してダンジョンの外に出た。



『クロリスも何か剣とか買っておいた方がいいんじゃない?』


街の中を歩きながらナギがそう言ってくる。


『私が毎回毎回戦っている最中に剣を作れるとも限らないんだし』


『確かにそれはそうだね』


『毎回毎回拳だけでモンスターと戦うわけにもいかないもんね』


『ていうかモンスター相手に拳一つで戦えてる時点で 普通じゃない』


『前にも言ったような気がするけどクロリスの場合もともとのステータスの数値が私の2倍ぐらいあって、それに勇者の加護の力が乗っかるから化け物じみた力になるんだと思う?』


『そういえば勇者の紋章の力って言えばナギの手にもあったよね勇者の紋章?』


確認をするようにそう言った。


『私の手にも紋章は現れてはいるんだけど一回もまだその力を使えてなくて』


『あれかな僕の紋章の力を発動させる時と一緒でなにか条件みたいなやつがあるのかな?』


『さあそれはまだわかんないけど』


そんな話をしながら街の中を歩いていると一つの武器屋が目にとまった。


『そうだそうだ僕の武器を買うかどうかっていう話ししてたんだ』


元々はその話だったはずだ。


僕達は一旦足を止めその武器屋に並んでいる武器を見ることにした。



「どんな武器をお探しですか?」


お店の中に並んでいる武器をじっと見ていると、女の人がそう声をかけてきた。


「短い探検たんけんの武器ってありますか?」


ナギがそう言葉を返す。


「それでしたらこちらなんていかがでしょうか?」


そう言いながらナギに一つの武器を手渡してくる。


さすがに見た目が赤ちゃんである僕に武器を持たせるわけにはいかないので、触り心地を確認するこわわとはできなかったが、見ため的には良さそうな武器だった。


『触り心地どんな感じ?』


実際に触ることはできなくてもナギにその感覚を教えてもらうことならできる。


そんなことを何度か繰り返していろんな武器を見て回ったが結局一番最初に勧められた武器を買うことにした。



(後書き)


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このお話は人気があれば続きを書こうと思っています。

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