第13話村人
「そうだ僕私と一緒に遊ぼうか」
『遊ぶって一体何をして遊ぶんだ…』
『まさか赤ちゃんぽい遊びをさせられるんじゃ!』
見た目が赤ちゃんなので仕方がないことだと分かってはいるのだがやはりそれをやってしまったら何かいろいろまずいような気がする。
まぁそれを今更言っても遅いことは分かっているのだが。
『一緒に遊ぶにしても何をして遊ぶんだ!』
僕がそんなことを考えているとモモさんがこう言った。
「あそうだ!勇者様ごっこをしましょう」
『勇者様ごっこ何だそれは?』
『ごっこ遊びなのは間違いないだろうけど一体何をするって言うんだ?』
「いいですかあなたは今から勇者様です」
「勇者様は冤罪で捕まってしまった姫を王国に助けに行かなければいけません」
『なんだかよくわからないうちにいきなりストーリーが始まった』
「王国の檻に閉じ込められてしまった私を助けてください勇者様!」
『なんかすごいノリノリだししかもちゃっかり自分の設定をお姫様にしてるし』
『なんかすごいノリノリだししかもちゃっかり自分の設定をお姫様にしてるし』
『僕も一応本当の勇者ではあるんだけど』
『こうなってしまっては仕方がない下手に嫌がっても怪しまれるだけかもしれないしここは赤ん坊のふりをするとしよう』
それから僕はモモさんに正体がバレないように気をつけながら赤ん坊のふりをして遊び始めた。
「よしそれじゃあ次は魔王を倒すために勇者様は修行しなければいけません」
『修行するって言ったってどうすればいいんだ』
そんなことを少し考えていると。
「それじゃあ目をつぶって瞑想してください」
『赤ちゃんとのままごと遊びで瞑想なんて言葉1回も聞いたことないけどな』
『まあいいか別に目をつぶってじっとしてればいいだけなんだから』
そう思い僕は言われた通り目をつぶって瞑想のポーズをとる。
わずか3秒ほど目をつぶっているとモモさんがこう言ってきた。
「この修行で勇者さまはレベルが10上がりました」
「間違いなくこの力で世界を脅かす魔王を確実に倒せるでしょう!」
『ストーリーの展開早すぎない?』
そんな突っ込んでも仕方がないような事を考えながら魔王の城までお姫様を助けに行く。
「ありがとうございます勇者様助かりました!」
っそう言ってお姫様ではなく、モモさんはまたぎゅっと僕のことを抱きしめる。
もうすでに3回目なので少しは慣れているかと思ったが全くそんなことはなかった。
「ちょっとうちの子にむやみやたらに抱きつかないでくれる!」
僕達が遊んでいるところを横でずっと見ていたナギが少し不機嫌そうに言った。
「何でですかただ私達は一緒に遊んでいただけですよ?」
「わかりました私達と一緒に遊びたいんですね」
ナギの不機嫌そうな様子を見ても一切表情を曇らせることなくむしろ笑っていた。
「そうじゃなくて」
「じゃ何ですかこの子を独占しているから私に嫉妬してるんですか?」
「なんで私がその子を独占されていることに対して嫉妬しなきゃいけないの!」
少し早口でそう言葉を返す。
「じゃあ別にいいじゃないですか」
一瞬このまま喧嘩になってしまうんじゃないかと不安になったがそんなことはなかった。
「そろそろお風呂に行きましょうか」
そう言ってナギが僕のことを抱っこする,
「それじゃあ一緒に入りましょう」
モモさんはさっきと全く変わらない笑顔でそう言ってくる。
『ななななんだって!』
一瞬聞き間違いかと思ったが 何度頭の中で同じ言葉を繰り返して確認してみてもやはり間違いではなかった。
「何でよ!」
「別にいいじゃないですか女の子同士なんですし」
「それともこの子と2人だけで入らなきゃいけない理由でもあるんですか?」
「別にそういうわけじゃないけど…」
「それじゃあみんな仲良く一緒に入りましょう!」
モモさんの勢いに飲まれてそのまま3人一緒にお風呂に入ることになった。
『僕は一体どうすれば!』
心の中でそう思っているとバスタオルを体に1枚巻いたモモさんがお風呂の中に入ってきた。
2人の間に挟まれる。
『変なこと考えないでよ』
僕のことを横目で見ながら頭の中でそう言ってくる。
『変なことを考えるどうこう以前に緊張しすぎてそんなこと考えられない!』
そんなことを言っても信じてもらえないだろうが実際そうなのだから仕方がない。
なるべく余計なことを考えないようにしているとモモさんが僕の頬を優しくつついてくる。
少し驚いて顔を向ける。
「かわいいな」
癒されるものを見るような優しい笑顔でそう言ってくる。
『どうしたらいいどうしたらいいんだ!』
さっきよりも焦りの気持ちが強くなる。
慌ててどうすればいいか考えるが何もそれらしい答えは出てこない。
僕は何とかお風呂の中で2人に挟まれているという状況を耐え抜いた。
「あそうだ今日は3人で仲良く一緒に寝ましょう!」
モモさんが思いついたようにそう言ってくる。
『2人で一緒に寝るなんてそれこそ恥ずかしすぎて耐えられない!』
『長いこと一緒にいるなぎとでさえ一緒に寝るのは恥ずかしいのに!』
『今日出会ったばかりの女の子と一緒に寝るなんて恥ずかし過ぎる』
「別にいいけど」
ナギがそう言葉を返す。
『なんで!』
驚きの言葉を返す。
『だってこの子私がいくら嫌がったところで無理やりにでも一緒に寝ようとしてくると思って』
『だけどさ』
「ヤッター!」
そう喜びながらベッドの上にダイブする。
これ以上ナギに何を言っても説得してくれそうにないので諦めて寝ることにした。
お風呂の時と同じように2人に挟まれるような形でベッドに横になった。
そのベッドはぎゅうぎゅうではあったが思っていたよりも少し大きめだったのでそんなに苦しくはなかった。
それでも僕が緊張する状態でいる事は変わらない。
『またこの緊張感に耐えながら寝なきゃいけないのか』
僕はその緊張感に耐えながら眠りについた。
ゆっくりと目を開けて横を向くとモモさんが
そしてつんつんとまた僕の頬をつついてくる。
「あああ」
少し驚いて声が出てしまう。
すると僕の隣で一緒に寝ていたナギがゆっくりと目を覚まして体を起こす。
「おはようございますナギさん」
爽やかな口調でそう言葉を口にする。
『昨日は少し喧嘩っぽくなっちゃってたから不安だったけど今はその心配はなさそうだ』
『違うよ昨日はこの子が変なこと言うから』
すかさず僕にそう言葉を返してくる。
ナギが少しモモさんのことを嫌っているのは変わらないみたいだから。
『今は嫌いかもしれないけどゆっくり仲良くなってくれればそれでいいよ』
『別に私はこの子のことを嫌っているわけじゃ』
『じゃ何で?』
『それは…』
『クロリスにも教えたくない』
そう言って反対の方に顔を向けてしまった。
『それならそれで言いたくなった時に言ってくれればいいよ』
「全く鈍感なんだから」
ナギが何か言った気がしたが特に聞き返すことでもないかと思い、そのまま何も言わなかった。
3人でその宿の朝ごはんを食べ終わった後、支度をしてその宿を出た。
(後書き)
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