エピローグ 東京
役所から午後五時の時報が鳴り響く。世界に夕暮れが訪れる合図。夕闇に溶けて境界からの使者が訪れる。闇夜を跋扈する魑魅魍魎。おどろおどろしい化け物たち。しかし、それを狩る者達が居た。
境界越境者殺害許可証持ち、通称「
境界越境者、通称、
本来ならば境界の中に囚われているべき者達だからそう呼ばれる。世界からはみ出した人ならざる者達。
その千年にも渡る宿願は一組の少年少女によった阻まれた。『
東京にはそれが照らす光が今もなお降り注いでいるのだという。魔都、という蔑称は的外れでもなかったというわけだ。それが恐怖の大王という形を持って現出したのは器を求めていたからに過ぎない。
人の噂、想い、感情は囚の最大の餌だ。恐怖の大王の降臨、その大予言に対する恐慌を餌に凶星はその身を形成しようとした。
それが殻器と呼ばれるようになる少年であり、復讐者だった。狐狗狸の短刀にまで火の手が伸びなかったのも痛かった。未来視の権能はあまりにも強力に過ぎた。
そしてなにより凶星にも炎尾にも予想のつかなかった「
彼女はどこから現れたのか、その謎を解くためには、時を江戸の世まで遡らなければならない。
恐怖の大王がまだ凶星と呼ばれていた時代。境殺と囚の対立がもっと表沙汰になっていた時代。
そんな時代に白雪は生まれた。
東京の生まれるその日までこの命の灯火を消させてはいけないと。予言を残して。
術師は去った。
一柱の女神と一人の男性、生まれた子の真っ白な髪の産毛を見て、白雪と名付けた。一方、去った術師は短刀を持っていた、その眼は
今、過去、未来を繋ぐ物語が江戸の世から始まった。
白雪が生まれて十年が経つ。術師の息子が跡を継いで二代目として境殺に入ったところから話を始めよう。
「
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