確かに進んでいる 弐
そう崩れ去ったのだ。まるで雪のように、そう雪のように。
「なにあれ!?」
「雪人形……か!」
「
「え、なんで?! あの子たち偽物なんでしょ?!」
「だが所詮、雪人形だ! お前が保護かけてやらねーとまず手前の火の海で溶けちまう! だから早く!」
「一体でも多く炎尾に届かせろってことか……ええいやるしかない! 連射連射!
「あっ、はい!」
もう出番が終わったと思ってちょっとぼーっとしてた輪は慌てて羅針盤を起動する。
「まよひがよ、導きたまえ」
座標が脳内に直接送られる感覚というのは気持ちのいいものではないだろう、だがそれに耐えて廻は光の矢を正確無比に放つ。
保護された殻器の雪人形達、それは白雪の異能。「雪遊び」が彼女の根幹にあり、彼女の本質、片親は雪にまつわる神である事が伺える。
そして殻器本人は? と言えば。
「やっとここまで登ったぞ炎尾」
そう小さく東京タワーの階段の上から呟いた。そう、今、殻器は境界の中に居た。腐が用意した
「
怒りの炎尾は痛みの直前まで気づく事は無かった。そして痛みが到来する。胴体を貫かれた痛みだ。身体に穴の開いた痛みだ。痛い、痛い、痛い、怒りの炎尾はなお憤怒する。猛り盛る炎は止まらない。
そして――
「これで終わ――」
りと言いかけたその時、あの笑い声が聞こえた。
「ククッ! クククッ!」
嘲りの炎尾が殻器一行の後ろから現れ輪と廻を殺していたのだった。燃え盛る死体は悲鳴を上げる事すらなく消えた。
「お前、また殺したのかッ!」
「ククッ! クククッ!」
「冷静になれ、殻器、お前は怒りのを殺せ。こいつは俺が
「もう殺したよ、だから俺にそいつを殺させろ!」
そう言った瞬間、殻器の背後から火の手が上がる。嘲りとはまた別の笑い声が聞こえてくる。
「アハハ! 楽しいな! 楽しいな!」
楽しさの炎尾が現れる。そして怒りの炎尾が起き上がる。炎尾が三体。こちらは殻器、腐、白雪の三人。
優勢は劣勢に変わり、状況は暗く夜に溶けていく。炎が地を舐める。白雪の作り出す
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