第33話 サザンビーチのシンデレラ
茅ヶ崎海岸 午後3時35分
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
東名高速道路を海老名JCTから圏央道に入り茅ヶ崎JCTで国道46号線、そして国道134号線を走る。
7月のサザンビーチの日差しは眩しい。
二人で裸足になって砂浜をゆっくり歩いた。
足裏がじんわり熱いけれど真夏のそれと比べれば踏み心地がいい。
今年も夏が近づいてきた、何となくワクワクする。
「見て、サーフィンをしているわ。気持ちよさそう」
沙羅は波を切って滑るサーファーに夢中だ。
「気持ちいいよ、やってみたいの?」
「出来るかしら? ── え、陽司くん出来るの?」
「少しだけどね。学生時代はよく波乗りしてたよ」
「そうね、千葉にも素敵な海があるわね」
沙羅さんに言わせれば九十九里もノースショアも同じなのかもしれないとクスリ笑った。
「ね、私にも出来るかしら」
「えっ!本気!?」
「日焼けはできないからほら、ピチッとしたイルカみたいなすべすべの服、あるでしょう?」
ドライかウエットのことだろうが・・・
沙羅さんの美ボディを人目に晒すなんて俺が許せないな ──。
「ん〜〜、じゃあさ。今度俺が波乗りする時に一緒に来る?見てるだけでも結構面白いと思うよ」
「本当に?絶対に連れてってね」
沙羅の笑顔に、少し練習するかぁ、その前にボードの手入れからだなと苦笑する。
「昨日も、今日も海に来れたわ。その前に海に来たのは10代だったかもしれない」
「そ、良かったよ。楽しかった?」
「とても。海は大好きよ」
「また二人で来よう」
防波堤に座って海を眺めていた俺だが、気づかれないようにない左手首を確認した。
もう間もなく4時。帰らないといけない。
容赦なく、デートの終わりの時間は迫ってくる。
もうすぐ普段着の沙羅さんは、華麗な蝶に羽化しちゃうんだ。
シンデレラとは逆、だな。
次話は「沙羅の贈物」です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます