第23話 鋭い沙羅サン
52階の廊下を一緒に歩く。
行き先はスカイラウンジ。
陽司くんの同僚のお二人と待ち合わせの約束をしたから。
ディナーも夜景も素晴らしかった。
陽司くん頑張ってレストランをリザーブして可愛いお花もプレゼントしてくれて。
私、世界で一番幸せ。
でもあまり陽司くんに気を遣わせてお金をかけさせてはいけない。
私がちゃんとしなくては。
というか庶民の私なんだもの、贅沢は時々で十分。
天国にいるバイク店の兄貴さんに心配をかけないようにしたい。
それにしても・・・好きな人とデートでディナー。
初めての経験でドキドキしました。
私は自分のお店では食事はしない。
一応、責任者だからお酒も飲まない。
すすめられるけれどお断りしてます。
時々酔ったお客様が怪しげなお誘いをしてくるのも速攻ブロックブロック。
でもキャストさんやマネさんとはご飯にいきます。
お酒を飲むとすぐ赤くなるからお酒が弱いと思われてる。
でも、実は「ざる」。
いくら飲んでも悪酔いも二日酔いもしたことがないの。
これは、もう少しだけ陽司くんには内緒にしておこう。
内緒といえば。
「陽司くん」
「ん、なに?沙羅さん」
「和中さんとはるかさんとお話しするの楽しみ」
「あ ───、ハハ、そうだねぇ」
陽司くん、バレバレです。
「和中さんとは警察学校から?」
「え・・・いや違うよ、新卒のオリエンで一緒だったんだ」
「はるかさんは?」
「え?はるか、・・・。あぁ前沢君か」
ははぁん、やっぱり。
「やっぱりオリエン?」
「いや、彼女の新任OJTが俺でさ」
「先生だったのね、陽司くん」
先生に憧れる女子高生みたいな、かな?
「そんなんじゃないよ」
「私も教わりたいな、香月先生に」
はるかさんの気持ち、よくわかる。
「俺なんて全然。厳しかったと思うよ」
「そうなの?ふぅん」
陽司くんは自分の引力をわかってないから。
「あの、沙羅・・・さん?」
「はい、なに?」
あら困ってる、陽司くんタレ目ですよ。
はるかさんのこと?
はい、気づいてますよ。(にっこり)
陽司くん、はるかさんとお付き合いしていたことがあるのね。
女の子達が貴方をほっておく訳がないわね。
ん、きっとかなりモテるはず。
銀座クラブの現役ママの目は誤魔化せませんよ。
「愛してる、沙羅さん」
まぁ・・・ズルいんだから。
そういうところは天然?
それとも経験値?
「ずっとそばにいてね、俺だけね」
貴方には勝てないわ。でも・・・
「私、最後の恋人なのかな?」
「当たり前じゃない!」
「なら約束。はい指切り」
小指を絡めて。
まぁ大型のワンちゃんみたいなフリフリの尻尾が見えた。
「俺の人生は沙羅さんだけでいい」
私のそばにいて。
「私も、陽司くんだけでいい」
私、ずっとそばにいていいですか?
次話は「星空プール」です。
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