第16話 地上の太陽 -サプライズデート-
サントリーホール 午後1時25分
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お台場から首都高湾岸線に入り、レインボーブリッジを渡ってから環状線を北へ向かう。
東京タワーを左に見ながら築地、銀座と沙羅のホームタウンを抜け、赤坂に建つサントリーホールのパーキングへ入庫した。
この予定はデートMAPでもサプライズにしていた。
沙羅がクラシック音楽好きだということをENDLESS RAINのマネージャーから聞いていた香月が慣れないクラシックに四苦八苦しながらチケットを取ったのだ。
そのことを沙羅はホールが見えてきた車中で聞いて手を叩いて感激していた。
ウキウキとプログラムを手にホールに入る。
演目はブラームスとビゼーのカルメン。
有名曲ばかりだが香月には強力な子守唄になりかねない。
「昨夜も遅かったから・・・陽司くん、寝ちゃうかもしれないわね」
「自信ないな〜。でも沙羅さんの隣で寝れるなら本望だけど?」
「 っ!起きていてくださいっ」
「はいはい、(ヒソッ…どうせ今夜は一緒だもんね)」
「 //// (´>///<`)」
「さ、行きましょう沙羅さん」
プログラムで顔を隠した沙羅の肩を抱いてホールの席に着く。
素晴らしい指揮と演奏。
緻密で素晴らしい音が無数に
重なって生まれるオーケストラを全身で浴びる至福の時間。
演奏の終わった直後、沙羅は感激で涙ぐみながら惜しみない拍手を送っていた。
「こんなに素晴らしい音楽ははじめて。素敵なサプライズをありがとう」
車に乗るなり香月の肩に甘えるように頬をつけて礼を言った。
「良かったぁ沙羅さんが喜んでくれて。俺も嬉しいよ。また来ようね」
コクリと頷きながら、でもそっと香月の耳元へ、
「でも、次は寝ないでね」と囁く。
一生勝てそうにない、勝たなくていいとニヤつきながら、今日の最終目的地へ向けてエンジンをかけた。
次話は「小さな嫉妬」です。
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