第15話 地上の太陽 -お台場デート-
お台場 午前11時30分
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首都高向島線から湾岸線を通り、有明で下りる。
お台場海浜公園近くに駐車した香月は車のトランクから弁当を入れた紙袋を取り出した。
右手に紙袋を持ち、左手を一歩後ろを歩く沙羅に腕を伸ばして
「はい、沙羅さん。手!」
と笑う。
差し出された大きな手のひらをポーっと見ながら周りをきょろきょろと見回してから、そっと右手を差し出した。
ニカッと笑顔で沙羅の手を握り沙羅の歩調に合わせて並んで歩く。
太陽みたい・・・・
陽司くんは私を照らしてくれるお陽さまなんだ。
水色のシャツにブラックジーンズ、脚が長い。
真っ白な革のスニーカーが眩しくて、シンプルな服装なのにどこの誰よりも輝いている。
自分より高い肩、見上げた先の明るい笑顔、触れた腕は逞しくて何だかそれだけで酔っちゃいそう。
「・・・・さん、沙羅さん?」
香月が立ち止まり沙羅の顔を覗き込んだ。
ふいに自分の目先に現れた香月の鼻先と思いがけず肉感的な唇に。
沙羅は思わずコクリと息をのみこんだ。
「どうしたの?沙羅さん」
「い・・・いえ、何でもなくて」
沙羅がオドオドしている傍から、おもむろに香月はニヤリと口角を上げて笑い、
「ははぁん、さては沙羅さん、もしかして──?」
ドキッ///💦まさか心を読まれてる?
陽司くんこういうこと鋭そうだし・・・
もしかして魔法使いだったの?
うそ・・・どうしよう、隠れたいーー(*_*)
思わず顔を覆って下を向いたところで、優しく頭をポンポンされた。
「さては沙羅さん、お腹すいたのかな?お腹が鳴っちゃったかな〜?」
「はぃっ??・・・な、鳴っていないし、違うーー!」
「あれぇ?じゃぁ何だろう。ん?
さぁお巡りさんに白状しなさい(ニヤニヤ)」
「もぅっっ、意地悪ーーーっ」
香月は顔中を口にして笑い、逃げ出した。
沙羅も両拳を振り上げながら
「違うのー」
と追いかけて走り出す。
10分後
「おいし・・・」
「そ?良かった」
お台場海浜公園のベンチに二人並んで座り、香月の手作りランチにパクつく。
ハムとレタスとチーズのサンドイッチにタコさんウインナー、ミニトマトと胡瓜のピクルス、デザートのさくらんぼ。
外で食べると美味しいな、沙羅はペットボトルの緑茶を飲んで一息ついた。
「本当はシャンパンでも用意したかったんだけどね」
「お茶で十分よ。陽司くんは料理も上手なのね」
「沙羅さん料理は?」
「・・・何を食べても美味しく感じる人なの」
「ハハ、最高♡」
ペットボトルを手に、ポーっと海を眺めている沙羅は緊張感が
香月は幸せな気持ちで胸が満たされていた。
見上げると目線の先にはここのシンボル、大観覧車。
ふと二人の視線が交差した時、
「次、来た時は・・・」「あの、今度はね・・・」
思わず言葉が同時に出て、
「「 あの観覧車に乗りたい! 」」
顔を見合わせて吹き出した。
二人は次のデート先に向かうため、手を繋いで歩き出した。
次話は「地上の太陽 -サプライズデート-」です。
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