第37話 ペアルックを知らない冬華さん

 振り替え休日の月曜日。美人店主が経営しているというラーメン店「土日ラーメン」にすばると昴の彼女さんと冬華と行く日。

 インターホンが鳴ったので外に出ると、冬華が自分の髪色と同じつば付き帽子を頭にかぶり、黒い長袖Tシャツに長ズボンというラフな格好できた。

 すると

「ラーメンを食べるということでしたから、汚れてもいい服できました。あの、宮都的にはどうですか?」

 冬華がもじもじしながら聞いてきたので

「いいんじゃないか?かわいいし」

 と僕が言うと

「あ、ありがとうございます…。その、なんか照れますね…」

 と頬を赤らめて言った。


 集合場所の学校の校門に着くと、10分前なのにもう昴と昴の彼女さんがいた。

 そしてよくよく見ると2人は世間一般で言うところの[ペアルック]の格好をしていた。

 冬華が

「2人とも服はお揃いなんですね」

 と言うと

「うん!ペアルックにしてみたんだ!」

 と彼女さんが答える。

 すると冬華が

「ぺあるっく?なんですかそれは?」

 そう彼女さんに聞くと

「ペアルックは、彼氏と彼女が同じ服を着ることを言うんだよ!今度冬華ちゃんも彼氏さんとやってみるといいよ!」

 と冬華に教えてあげていた。


 しばらく歩いていると、美人店主が経営する土日ラーメンに着いたらしい。

 外観はどこにでもあるような感じだった。

 その店に入ると、「お帰りなさいませー!ご主人様!お嬢様!」と言ったあとに

「四名様ですねー!私についてきてください!」と言われたのでついて行くことに。

 そして、席に到着すると、「メニューが決まりましたら、このボタンを押してくださいね!」と言って去っていった。

 僕がメニュー表を見ていると

「へ~、この店、チェキを撮ることができるんだ」

 と昴が言うと、

「私のチェキは無料だよ?すー君」

 という会話が聞こえてきた。

 すると、冬華が

「チェキは宮都には要りませんよね?ね?」

 と圧力をかけてきたので

「要らないけど、なんかメイド喫茶ぽいよな」

 と言うと

「行ったことがあるんですか?」

 と聞かれたので

「アニメで学んだよ」

 と答えるとほっとした表情で「よかったです。行ってなくて。」と言われた。


 注文するものが決まったので呼び出しボタンを押す。

 すると、メイド服を着た女性が僕たちの席にきて「ご注文はなんでしょうか?」

 と聞く。

「私は、激辛スープラーメン、すー君は味噌ラーメン」

「私は、あんかけラーメンで、宮都は醤油ラーメンです」

 そう彼女さんと冬華が注文を言うと

「ご確認します!激辛スープラーメンが1つ、味噌ラーメンが1つ、あんかけラーメンが1つ、醤油ラーメンが1つ、で宜しいでしょうか?」

 と聞いてきたので彼女さんと冬華が「「はい!」」と言うと、

「少々お待ちください。ご主人様、お嬢様」

 と言って去っていく。

「そーいえばさ、冬華とお前、息ぴったりだったな。練習したのか?」

 と昴が聞くと、

「そんなわけないじゃん。たまたまだよ。ね〜、冬華ちゃん」

「そうですよ。練習するわけないじゃないですか」

 と彼女さんと冬華が答えると、

「女子ってすげぇよな」

 と昴が呟いた。


 文化祭のことや日常生活のことを話していると、店員が「お待たせしました!激辛スープラーメンと味噌ラーメンです!」と言うと

 彼女さんが「私が激辛スープラーメンで、隣にいるすー君が味噌ラーメンです!」と言う。

 その人がラーメンを置いて「ごゆっくりどうぞ!」と言って去っていくと

「お待たせしました!あんかけラーメンと醤油ラーメンのです!」

 と言うと、冬華が「私があんかけラーメンで、隣の宮都が醤油ラーメンです」と言う。この人も前の人と同じく「ごゆっくりどうぞ!」と言って去っていく。


 ラーメンを食べていると、頭に三角巾をつけた綺麗な女性が僕たちのところに来て、

「私はこの店の店主の成瀬なるせと言います。食べながらでいいですので質問に答えたください。

 ラーメンはどうですか?」

 と聞かれた。

「餡は美味しいのでいいと思いますが、少し私的には麺が硬いと感じました」

「麺が硬いと感じますね。あと、私的には辛さが足りないかな?」

 そう冬華と彼女さんが答え、そのあとに

「ラーメンのつゆは美味しいです。だけど、麺が硬いと感じますね」

「麺が硬いですね。もう少し柔らかくてもいいかもしれない」

 僕と昴が答える。

「貴重な意見をありがとうございました。ごゆっくりどうぞ」

 と言って成瀬さんが去っていった。

 成瀬さんがいなくなったあと昴が

「綺麗で向上心があるってすごいよな!やっぱりレビューは信じない方がいいのかもしれない」

 そう感心しながら言うと、昴の彼女さんが

「たしかに。向上心があるってすごいよね!」

 と言ったのに続けて

「そうだよな。昴の言った通りだよ」

 と賛同すると冬華も

「ですね」

 と言った。

 そのあと、ラーメンを食べ終わると、会計をしてその日は解散となった。

 僕は家に帰ると土日ラーメンについて調べてみると、今日は毎月のメイドフェアの日だった。

 それを冬華にメッセージで教えると『なるほど、納得です』とメッセージが送られてきた。






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