第11話 僕と神宮さんは折り紙を楽しむ

 午後の授業は先生曰く文化祭の準備に充てられるんだと。なので僕は教室の隅で文化祭で出す小説を書くことに。ちなみに神宮さんも隣にいる。

 僕は、主人公をどんな人にしようか悩んでいると、ふと、『感情を表にあまり出さない人がトリック・オア・トリート!と言って近所の人からお菓子をもらいに回る姿はかわいいだろうな』と急に思いついた。しかし、僕の身の回りにはそういう人は神宮さんしかいなかったので神宮さんを主人公にすることに。主人公が決まると、テーマが簡単だったこともあり、5時間目の終了を知らせるチャイムがなると同時に小説を書き上げることができた。

 すると、神宮さんが

「小説は完成したのですか?」

 そう聞いてきたので「完成したよ」と答えると

「見せてください」

 と言われたので僕は完成した小説を差し出す。

 読み終わると

「あのう、この小説の主人公のモデルはもしかして私ですか?」

 と聞いてきたので

「そうだよ」

 と僕が言うと

「私のことをよく見てくれてるということが伝わってきてうれしいです。いいと思います」

 と神宮さんからお墨付きをもらえた。

 神宮さんと話しているとすばる

綾川あやかわ先輩が宮都のこと呼んでるぞ」

 と教えてくれたので廊下に行くと

「宮都君、文化祭で出す小説は完成したかい?」

 と綾川先輩に聞かれたので「できました」と言って渡すと、その場で読み、

「いいんじゃないか?面白いと思うぞ」

 そう感想を言って受け取ってくれた。


 そのあと、僕は文化祭で何をやるのか、何を準備する係かわからなかったので神宮さんに見守られながら2週間分の課題をやることにした。

 しばらく課題をやっていると

「あ、あの!宮都君、えっと、その、一緒に折り紙で景品を作ってくれると嬉しいな、なんて…」

 と黒色の髪を三つ編みにし、黒縁眼鏡をつけている女の子、海藤冬子かいとうふゆこさんが言ってきたので

「いいよ。でも、作るのは何でもいいの?」

 と聞くと

「うん」

 と言ってうなずいた。

 というわけで課題を中断して折り紙で景品を作ることに。神宮さんは隣でただ見ているが飽きたのか、自分もやりたいと思ったのか、それはわからないが、気が付くと神宮さんも作っていた。

 6時間目が終わる約30分前には海藤さんから渡された大量の折り紙で景品を作り終えてしまった。なので折り紙をもらいに行くことに。

「海藤さん、折り紙残ってる?」

「あるけど、手伝ってくれてありがとう。あとは私がやるから終わっていいよ」

 と言ったが、言葉と表情が一致してなっかたので、

「まだ、残ってるだろ?やらせてくれよ。はまってしまったんだ。折り紙に」

 と僕がいうと

「いいの?手伝ってくれるの?」

 と確認してきたので

「ああ。作りたいものがあるんだ。」

 というと、海藤さんの表情が明るくなり、

「よろしくお願いします!」

 そう残っている折り紙の半分以上を渡して笑顔で言った。

 その後、折り紙がなくなるまで有名なものからマイナーなものまで作ると、ちょうど6時間目が終わるチャイムが鳴ったので、海藤さんに作ったものを渡しに行くと

「もう私の仕事終わっちゃた。私ほとんど何もしてないよ…」

 と言っていた。折り紙で作ったものをチェックしながら、

「なんで短時間でここまでのものができるの?」

 と質問してきたので

「神宮さんも作ったし。あと、慣れてるんで」

 と答えると

「慣れだけではすまされない気がする」

 と言われた。



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