第7話僕は生まれて初めて本物の執事を目撃する
起きると、時刻は午前6時。とりあえず水を飲む。
スマホをいじろうかなと思って探していると
「何かお探しでしょうか?」
と声が聞こえた。声が聞こえた方向を見てみるとそこには銀色の髪を腰まで長く伸ばした無表情の事故から助けた女の子がいた。僕は「朝早くに目が覚めちゃってね。スマホをいじろうとしたんだが見当たらなくて」と言うと
「それなら、あなたの両親が持っていますよ。医師の方が『もし、目覚めたとしても、検査が終わるまで控えてください』とおっしゃっていましたから」
とその女の子が答えてくれた。僕はふとあることが気になって質問することに。
「今日平日だよね?君は学校に行かなくていいの?」
「はい。私は、あなたに助けられて、あなたのことが好きになりました。だから、あなたの通う高校に転入しました。今は、公欠を使っています」
と答えてくれた。僕はその時、名前を言ってなかったなと思ったため、名前を言うことに。
「そうなんだ。ちなみに僕は…「宮都様ですよね?」」
「なんでわかるんですか?」
と質問すると、
「病室の前に書かれていましたので」
と答えたあとに
「私の名前を言っていませんでしたね。私は、
と言われたので
「まずは友達からでいいですか?出会ったばっかりでまだ自分の気持ちがわからないので」
僕が神宮さんにそう言うと上山さんが「わかりました。では友達からよろしくお願いします」
と言う。
自己紹介?が終わったあと、神宮さんが
「今日の予定は、午前7:00頃に朝ご飯が運ばれてきます。午前9:00から午後4:30頃まで検査を行い、午後6:00頃に夜ご飯が運ばれてきます。今日は検査のため昼ご飯はありません。という予定になっています」
まるでロボットのように話した。
「どこでその予定を聞いたんですか?」
「宮都様がこの病院に運ばれたときにあなたのご家族と一緒に聞いて、メモを取りました」
と教えてくれた。
そのあと、予定通り朝ご飯を食べ、検査をする。
検査は脳波、レントゲン、MRIなどのいろいろな検査を行った。結果は早ければ2日後、遅くて3日後にわかるらしい。
僕が検査を終えて病室に戻ると神宮さんは夜ご飯を僕が食べ終わったのを確認してから
「宮都様、明日も来ますね。」
と言うと病室から出ていく。
神宮さんが病室を出たあと、僕は「なんで立ちっぱなしだったのだろう?」と気になったので、明日質問することに決め、その日を終えた。
次の日。僕が起きると上山さんがまた立っていたので質問する。
「座らないんですか?」
「座ってもいいのですか?」
神宮さんが聞き返してきたので
「そこの椅子に座りなよ。立っているの疲れるでしょ?」
と僕が椅子を指さして言うと
「ありがとうございます」
と言って僕が指さした椅子に腰を下ろした。
そのあと、
「今日の予定ですが、午前7:00頃に朝ご飯、午後0:00頃に昼ご飯、午後6:00頃に夜ご飯の予定です。検査とかはありません」
と予定を昨日と同じくロボットのように教えてくれた。
僕はスマホがこの場にないので、景色を見ることに。テレビを見ることもできるが、昨日検査後に見ようとテレビをつけようとすると神宮さんに「電子機器を使うのはやめてください‼」と強く言われたので見れない。
というわけで、推理タイム。今の季節は紅葉の季節。僕の病室は5階にある。この条件から導き出せる答えは、”病室から見える紅葉を見る”だ。
僕が景色を見ていると神宮さんが
「何か買ってきますね。買ってきてほしい物とかはありますか?」
と聞いてきたので
「飲み物と、何か読むものを買ってきてほしい。」
そう僕が答えると、「わかりました」といって病室を後にする。
僕は神宮さんが戻ってくるまで病室から見える紅葉を見ていることにした。
「紅葉はまだ見ごろじゃないな」とか、「山頂に雪が積もっていないからまだ雪が降らないな」などと考えていた。
しばらくすると、神宮さんが買ってきた物がぎっしりと入った買い物袋を両手に持って戻ってきた。タキシードを着た見たことがないおじさんも持っていた。
「誰だろう?」と思っていると、初老の人が荷物をテーブルの上に置き
「申し遅れました宮都様。私は神宮冬華お嬢様の専属執事でございます。この度は冬華お嬢様の命を救っていただき感謝しております」
と自己紹介をしてくれた。
「自己紹介は結構ですよ。名前、生年月日、犯罪歴等はわかっていますので。あなたは勇気があって優しい人なんですね。調べてみてよくわかりました」
と執事は話したあと、お辞儀をして病室を後にする。
その執事と入れ違いで昼ご飯を運ぶ人が来た。
僕は唐突だが、あることに気が付いた。それは、ご飯を運ぶ人は時間帯によって違うということである。
まあ、それに気が付いたからってどうということはないのだが。
そのあと、何事もなく過ごし、面会時間終了の時刻になると神宮さんは帰っていった。
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