第3話午後の授業が終わるとたいていは天国

 午後の授業も睡魔との戦いだ。サドンデスだ。一撃食らうと眠りに入ってしまう。なので耐える。ある人は定規を太ももに刺していたり、ある人は睡魔に負けていびきをたてて寝ている。その人は先生に教科書で頭を叩かれる。

「ドンッ!」と音が鳴った。いい音だなぁ。

 そんなこんなで2時間の授業が終了して放課後。

「後輩く〜ん、一緒に帰ろ〜!」

由希ゆき先輩、玄関で待っててくださいよ。なんで教室に来るんですか?」

「え?ダメ?」

 と由希先輩が上目遣いで僕のことを見てきた。もちろん僕が負けました。

「すいません。じゃあ、帰りましょうか」

「それでいいのだ!」

 由希先輩とたわいもない話をしながら分かれ道まで一緒に帰り、そのあとは由希先輩と別れて僕は家に帰る。

 家に着いて扉を開くと

「おかえり!お兄ちゃん!」

 そう言って僕を出迎えてくれたのが松平鏡花まつだいらきょうか。髪は小学校6年生から切っておらず、足まで伸びている。髪の色は黒色。いつもダボダボのパーカーを着ている。中学3年生。通信制中学校に通っている。理由は小学校6年生の時、クラスでのターゲットにされ、不登校となったからである。

 これは僕の見解なのだが、両親がいじめの証拠集めで忙しかったので、僕は空き時間があれば鏡花の近くにずっといた。なので僕に甘えるようになってしまったと考えられる。

 鏡花が、僕を出迎えたということは褒めて欲しいことと、頭を撫でて欲しいという意思の表れである。なのでまず、頭を撫でてあげることに。

「んっ、お兄ちゃん気持ちいい。もっと!」

 と言ったのでもっと頭を撫でてやる。すると、僕の胸に頭をぐりぐりし始める。可愛いが、そろそろ僕の肩が限界なので、

「荷物置きたいし、着替えたいからまたあとでな」

 と言うと、

「えっ?ヤダヤダ!」

 と駄々をこねるので、

「今、言うことを聞くと1時間プラスします。」

 と言うと、

「約束だからね?」

 と言って離れてくれた。僕は自分の部屋に荷物を置き、素早く着替え、弁当箱を持って下に降りる。

「今日部活あるんじゃないの?」

 そう母に聞かれたので

「部長が忙しいから今週やらないってさ」

 と答えると、

「もう愛好会に改名しちゃえばいいのにね」

 母がそんなことを言った。すると鏡花が僕のそばに来て

「お兄ちゃん、約束!早く!」

 と急かしてきた。

「鏡花はほんとに宮都のことがすきなのね」

 と言って微笑ましそうに言う。

 母の言ったことを聞きながら僕は鏡花と約束した頭を1時間撫でることを始める。

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