第44話 冬華は考えすぎるところがある
家に帰りリビングに行くと鏡花が
「冬華ちゃんとどこ行ってたの?」
と聞いてきたので
「鏡花、あれは冬華じゃない。冬華の姉だ。」
と言ったあとに続けて
「冬華の家だ」
と僕が言うと
「え⁉冬華ちゃんじゃなくてお姉さんなんだ。あと何しに行ったの?」
と聞いてきたので僕は
「彼氏として支えに行ったんだよ」
と言うと鏡花が
「そうなんだ!」
と言ってリビングに戻っていく。
僕は自分の部屋に行って軽めに勉強をしていると冬華から電話がかかってきて
『テスト前日だというのに、私の家に姉が無理やり連れてきてしまって本当にごめんなさい!』
と謝ってきたので。
「別にいいよ」
と言うと
『怒ってますか…?私のせいで宮都の貴重な時間を無駄にしてしまったので…』
とおずおずと僕に聞いてきた。
「冬華って考えすぎるところあるよな」
『え?』
「あのさ、僕たち付き合ってるでしょ?なら、彼女が困ってるってときはさ、どんなに時間がなくても彼氏が助けてあげるものじゃないの?そして彼氏が困ってたら彼女が助けてあげるものじゃないの?」
と僕が言うと冬華が『あ…』と声をあげる。僕はおかまいなしに
「要するにさ、僕が言いたいことは、例外はあるけど、冬華の為なら時間が無駄になった程度では怒らないってことだよ」
と言うと
『宮都は優しすぎるんです…』
と言って泣き出してしまった。
「冬華、大丈夫か?」
と聞くと
『大丈夫じゃありません!目から涙が止まらないんです!誰かさんが優しくしたせいで!なので責任をとって私が泣き終わるまで通話を切らないでください!』
と言われた。
しばらくすると、泣き終わったのか
『宮都に私の泣き声を聞かれちゃいましたね。恥ずかしいはずなのに嬉しさも感じているんです。なんでか宮都はわかりますか?』
と聞いてきた。僕は
「わからないな」
と答えると
『正解はですね、宮都が私のことを大切にしてくれるということがわかったからですよ』
冬華が言う。僕は
「なんでそんな恥ずかしいこと堂々と言えるんだ?」
と聞くと
『宮都にだけは言われたくないですよ!』
と冬華が言うと、僕たちは同時に笑った。
笑い終わると
『もうテストなんかどうでもいいです。話しませんか?』
と冬華が提案してきたので
「いいぞ。前日にやったからって点数が高くなることなんてまずないからな」
と僕が言うと
『それは言い過ぎでは?』
と冬華が言ってきたので
「いや、言いすぎじゃないぞ。ソースは昴」
と言うと
『あの人はよくやらかしますよね。情報源になるんですか?』
と聞いてきたので
「なるよ。だって昴の彼女さんの家でみっちりとテスト前日に勉強したんだからな。それでも赤点だったんだよ」
と言うと冬華が
『なるほど。それなら情報源になりますね。ところでそのあとはどうなったんですか?』
と聞いてきたので
「彼女さんの家に泊まり込みで再テストの勉強をしていたな。まぁ、そのおかげで今のところ留年は免れているんだけどな」
と話すと
『あの2人らしいですね』
と冬華が言う。
そのあともしばらく冬華と話しをする。
その時の冬華はとても楽しそうだった。
side神宮冬華
宮都との問題の出し合いを終えて私は再び机に向かっていると、原因がわからないが急に今まで積み上げてきた物が私の中で崩れていくような感じがしたのと同時に私の中で何かが爆発した。
私はここから記憶がない。
気が付くと宮都が私に腕を掴んだ状態で私の目の前にいた。
何故ここにいるのかを聞くと、私の姉に拉致られたらしい。
それを聞くと私は申し訳なさでいっぱいで謝り、暴れた原因を宮都に話した。
すると宮都は
「冬華、それは考えすぎだって。そんなことで嫌いになるわけないじゃん」
と私に言った。
私は嘘ではないか確認すると宮都が「嘘じゃない」と言った。
それを聞くと安心したのか急に睡魔が私を襲う。
それに耐えられなくて急に倒れてしまう。
気が付くと私はベットで寝ていた。
隣を見てみると、私が破ったと思われるプリントがきれいに直っていた。
プリントを手に持つと紙切れが落ちてきたのでそれを拾うと「冬華、無理するなよ?」と書かれてあった。
私がそれを見ているとお姉ちゃんが部屋に入ってきて
「冬華、あなたの彼氏さんは優しくていい人ですね。それを直したのも、今冬華が持っている紙にメッセージを書いたのも全部冬華の彼氏さんですよ?」
と私に言ってきた。
私は何も言い返すことが出来なくて口を噤む。
するとお姉ちゃんが
「今度からこんなことしないでね。あとはお父さんに頼みます。お父さん入ってきてください」
と言うと部屋にお父さんが入ってきて怒られた。説教の最後に「あとで宮都君に電話で謝罪しなさい」と言って私の部屋から出ていくとお姉ちゃんも部屋から出ていく。
私はお父さんとお姉ちゃんが部屋から出ていくとすぐに宮都に電話をする。
私が宮都に電話で謝ると、許してくれただけじゃなくこんな私にやさしい言葉をかけてくれた。
だから私は泣いてしまった。
その時に宮都に
「大丈夫じゃありません!目から涙が止まらないんです!誰かさんが優しくしたせいで!なので責任をとって私が泣き終わるまで通話を切らないでください!」
と理不尽なことを言ったが、文句をひとつも言ってこなかった。
そのあと、私はテストのことがどうでもよくなり宮都と時間が許す限り雑談をした。
通話を終えると私は部屋で宮都が直してくれたテスト用のプリントとメッセージがかかれた紙を抱きしめながら宮都のことを考えていた。
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