第54話 大晦日の鏡花の決意と同棲スタート

 そして待ちに待った大晦日当日。

 冬華の住む家に行くのは昼過ぎなので僕はそれまで部屋でくつろぐことにした。

 くつろいでいると「お兄ちゃん、入るよ!」と言って鏡花が部屋に入ってきた。

「どうしたんだ?」

「唐突なんだけど私ね、高校から学校に行くことにした!やりたいことが見つかったから…」

 そう鏡花が言ったので

「いいんじゃないか?僕は応援するぞ」

 と僕が言うと鏡花が

「ありがとう、お兄ちゃん!」

 といい笑顔で言った。

 昼ご飯を食べ終わり少しすると冬華から『もう来てもいいですよ』というメッセージがきたので「じゃあ、行ってくる」と言って家を出て隣の家に行く。

 インターホンを鳴らすといつもの私服姿で僕のことを出迎えると靴を脱いで冬華の部屋に行く。

 僕は冬華の部屋を見ると白一色だった。

「冬華って白色が好きなの?」

「好きですよ」

 そう僕の質問に冬華が答えた。

 次に冬華は家具が置いてある部屋に案内した。その時に

「これは宮都の部屋です!」

 と冬華が言うと

「なんで僕の部屋があるの?そしてなんで家具があるの?」

 そう僕が聞くと

「病院を退院する時に私のお父さんの口から直接『宮都君の身の回りのお世話をさせるということをしたい』と私の要望を言ったはずですが。覚えていませんか?」

 と冬華が言ったので少し記憶を探っていると「あ~、あの時ね」と納得したので

「あの時ね!思い出した!確かに言ったな!」

 そう僕が言うと

「忘れすぎですよ。まったく」

 とあきれた口調で冬華が言う。

「でも何で家具もあるの?」

「私のお父さんからの餞別です」

 僕の疑問に冬華が答える。


 そのあとは冬華とテレビを見たり、雑談したりして年越しの時間まで過ごした。

 年越しの時間1分前になると冬華と僕は正座をして向かい合い年越しの時間になると同時に

「「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」」

 と言う。

「また新たな1年の始まりですねぇ。そして年をとりますねぇ」

 そう冬華がしみじみと言うので

「でも、今年は誕生日を祝えるんだぞ?いいじゃないか」

 と僕が言うと

「それもそうですね。ふふっ。今から楽しみです。ちなみに私の誕生日は4月12日です。宮都はいつですか?」

 そう冬華が聞いてきたので

「僕は5月6日だな。」

 と答えると「私たち1ヶ月違うんですね。なら宮都の誕生日の時に2人で祝いましょうか。ゴールデンウィークですし」と言う。

 楽しく会話をしていると、冬華があくびをし始める。

「もう寝るか?」

 と聞くが「まだ寝ません…」と言って横になって寝てしまう。

 なので僕はお姫様抱っこをして冬華を自分の部屋に連れて行ってベットに寝かせると冬華がうっすらと目を開けて

「宮都、帰らないでください…。隣の部屋で寝てください…」

 と言ったので冬華の頭に手を置いて「わかってるよ。おやすみ、冬華」と言うと

「おやすみなさい…」

 と言うと冬華の規則正しい寝息が聞こえてきたので僕も隣の部屋で寝ることにした。


 次の日。

 僕はいい匂いで目を覚ます。

 リビングに行くと僕に気が付いた冬華が

「おはようございます!今日の朝ご飯は年を越しちゃったけど蕎麦です」

 と言ったので

「わかった。僕は顔を洗ってくるよ」

 と言って洗面所に行く。

 顔を洗って戻ってくるとそばを食べる。

「なんか朝から蕎麦を食べるって不思議な感じがするな」

「そうですよね!わかります!なんか蕎麦って昼のイメージがありますもんね」

 そう言いながら2人で食べる。


 食べ終わると僕は一旦家に帰って風呂に入ってからもう一度冬華の家に行く。

 そして冬華とまったり過ごす。

 そう過ごしていると冬華が唐突に

「そう言えば、宮都は神社に行くんですか?」

 と聞いてきたので

「鏡花のために学業成就のお守りを買いに行くために行くけどさすがに三が日は嫌だよ。並びたくないし」

 と僕が答えると

「ですよね。ならいつ行くんですか?」

 そう聞いてきたので

「三が日が終わった次の日」

 と答えると「わかりました。ならその日に行きましょう」と冬華が言った。

 そのあと、テレビを見て笑っているとインターホンが鳴ったので僕が出ると

「お兄ちゃん!あけましておめでとう!」

 と言ったので

「どうかしたか?」

 と聞くと

「勉強を見てほしくて。ダメかな?」

 そう言ったので鏡花に「少し待て」と言って冬華に

「冬華!鏡花が勉強見てほしいそうなんだけどいいかな?」

 と大きな声で聞くと「いいですよ!」と許可が出たので

「いいってさ。」

 と鏡花に言うと「お邪魔します!」と言って家の中に入る。

 そこからは主に冬華が鏡花に勉強を教えていた。

 しばらくすると鏡花が「疲れたぁ~」と言ったので休憩時間にすることにした。

 休憩時間に鏡花が

「お兄ちゃんは受験期に私にかかりっきりだったけどどうやって勉強したの?」

 と聞くと冬華も「私も気になります」と言ってきたので

「計算問題とかは学校の休み時間とか読書時間にやってたな。暗記物は『自分の推しキャラを脳内で好きな服に着替えさせて自分なりの言葉でストーリーを作る』だな」

 と答えると

「お兄ちゃん、すごいなぁ…」

 と鏡花がつぶやいた。

 冬華は

「宮都はそれだけでこの高校に合格したんですか?」

 そう聞いてきたので

「そうだけど?」

 と言うと冬華に

「宮都は超人ですね…」

 と言われた。

 そして休憩時間も終わり再び鏡花は勉強する。それを冬華が見る。

 僕はやることがないので3学期の期末試験の勉強をする。

 そうしているといつの間にか外が暗くなっていたので鏡花を家に送ってもう一度戻ってくる。

 三が日中はいつもそんな感じで過ごした。


 三が日が終わると僕と冬華は神社に行って僕は自分用と鏡花と冬華に学業成就のお守りを買い、冬華は僕と冬華と鏡花の3人分の無病息災のお守りを買った。

 そして家に戻り2人で鏡花にお守りをあげに行く。

 鏡花にお守りをあげると「ありがとう!」と言って喜んでいた。

 そして僕と冬華も鏡花を見習ってテスト勉強をすることにした。

 僕は冬華に暗記科目のテスト範囲を分かりやすくまとめたノートをあげると「宮都、ありがとうございます!」と言って喜んでいた。

 テスト勉強をしていると受験勉強をしている鏡花が来て

「1人だと集中できないから一緒にやっていい?」

 と聞いてきたので僕と冬華が「「いいよ」」と言うと「ありがと」と言ってやり始める。

 しばらくすると鏡花が「1回休憩していい?」と聞いてきたので休憩時間にする。

 休憩時間に冬華が

「そういえば宮都はいつこの家で暮らすんですか?荷物も運んでいませんし。」

 と聞いてきたので

「すっかり忘れてた。でも、教科書と服類だけ持ってくれば終わりだからな。」

 と言うと、「なら今すぐ持ってきてください」と言われたので家に1度帰ってかばんに必要なものを詰めて冬華の家に戻り、自分の部屋に着替えをタンスにしまい、教科書を本棚にしまう。

 それが終わるとリビングに行く。

 すると冬華が「お疲れ様です」と労ってくれた。

 そのあとも僕達は勉強を続けた。



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