第13話 神宮さんには隠し事は出来ない

 床をお湯で濡らした雑巾で床を拭いている時、何もやることがなく、財布の中を見てみると9000円入ってたので、

「何か飲みたいものはありますか?」

 と聞くと

「私はスポーツドリンク!」

「私は果物を使った飲み物が欲しいな」

「私はお茶でお願いします」

 と由希ゆき先輩、綾川あやかわ先輩、神宮かみやさんがそれぞれ要望を出す。それを覚えて部室の近くの自動販売機で買う。

 買い終わって部室に帰ろうとすると、

「ああっ!あと100円あったら梅イチゴサイダーが買えたのに…。」

 と泣いている茶色の髪をおさげにしている女の子がいたので、

「100円使いますか?」

 と聞くと、

「い、いえ!大丈夫です…」

 と悲しそうな表情をしていたので、100円をそのジュースがある自動販売機に入れ、

「あっ!100円が入っちゃった!もうこれは買うしかないよね!」

 と言ってその場を去ることに。遠くから

「絶対恩返ししますので!」

 という声が聞こえた。

 部室に帰り、飲み物を渡していると、

「部室に来るのが遅かったのですね。何かあったんですか?」

 と神宮さんが聞いてきたので

「混んでてさ」

 と答えると

「そうですか」

 神宮さんが言ったあと、LETTERで『あとで本当のことを聞きますので』とメッセージが送られてきた。

 掃除が終わると外は暗くなっていた。綾川先輩と由希先輩は家に電話をして迎えに来てもらうらしい。僕の家は比較的近いので1人で帰ろうとするとが、神宮さんに腕を掴まれ、

「宮都様の家まで乗せていきます。」

 と言われた。だが、乗せてもらうのは何か落ち着かないと思ったので

「歩いて帰るよ。そこまで遠くないし。」

 と拒否すると、

「ふざけないでください。宮都様にLETTERで宣言したはずです。私にした隠し事を聞くと。」

 と怒ったように言った後、懇願するような表情になり

「私は不安なんです。また、あのような事故が起こるかもしれないと思うと。なので、家まで送らせてください。」

 と言ってきたので、僕は少し考えて

「わかった。じゃあお願いするよ。」

 そう言うと

「はい!」

 と嬉しそうに返事をした。

 そのあと、神宮さんの執事が運転する車が到着し、車に乗ると、神宮さんにした隠し事である、『梅イチゴソーダを買おうとしたら、100円が足りなくて残念がっていた女の子に100円を無理やり押し付けた』という出来事を話した。すると、「そのジュースはおいしいのでしょうか?」と神宮さんが聞いてきたので「挑戦してみたら?」そう僕が言うと「その時は宮都様も一緒ですよ?」と微笑しながら言った。

 そんなことを話していると神宮さん専属の執事が

「着きました。ドアを開けますので少々お待ちください」

 と言い車を降りて扉を開ける。神宮さんが僕の住む家の隣を見て、

「家が隣にできたら一緒にご飯とかお茶とかしましょう!」

 と言ったので

「うん!楽しみにしているよ」

 そう僕が言うと執事がドアを閉めて車を発進させた。





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