第52話 冬華とクリスマスデートと言う名の勉強会
冬休み初日。
僕は朝起きるとこんなメッセージが昴から来ていた。
【昴】一緒に本屋行こうぜ。集合場所は学校の正門前。時間は9時。
【宮都】いいぞ。
と送るとすぐに了解しましたというメッセージが書かれた可愛いキャラのスタンプが送られてきた。
僕が家を出ようとした時に鏡花が
「お兄ちゃん、どこ行くの?」
そう聞いてきたので
「本屋だよ。友達と行ってくる」
そう答えると
「車には気をつけてね!行ってらっしゃい!」
と笑顔で言ってきたので
「行ってくる」
と言って家を出る。
正門に行くと5分前だと言うのに昴がもう居た。
昴に声をかけると
「じゃあ、行くか!」
そう言って本屋に向かう。
本屋に向かう時
「何買うんだ?」
と昴に聞くと、
「新刊とか気になっている漫画とかだな」
そう答えた。
本屋に行くと僕達はまず新刊コーナーに行く。
すると僕が好きな漫画が発売されていたので買い物かごを持ってきてそれに入れる。
会計する頃には買う本で買い物かごがいっぱいになっていた。
会計を終えて本屋から出て近くにある時計を見ると正午になっていたので近くにあるファーストフード店に行って昼ごはんを食べる。
そのあとはアニメ関連の店をはしごしてグッズなどを買ったりした。
そうしているといつの間にか外が暗くなってきたのでその場で解散することにした。
家に帰ると自分の部屋に行って買ってきた漫画を読んでいると冬華が
【冬華】今日は内田さんと本屋とアニメ関連の店に行ってたんですよね?楽しかったですか?
【冬華】なんで私に言わなかったんですか?
【冬華】何を買ったんですか?
メッセージを連続で僕に送ってきた。
【宮都】ごめん。朝早い時間帯だったしから冬華が寝てるかなと思って言わなかったんだ。
【宮都】久しぶりに本屋に行けて楽しかったし、好きな漫画の新刊を買えたから嬉しかったよ。
そう冬華にメッセージを送ると
【冬華】そうだとしても次からは一言メッセージで伝えてください。あと、買った物を写真で撮って私に送ってください。
というメッセージが送られてきたので写真を添付する。
【冬華】いろいろな本を買ったんですね。
【宮都】文化祭とかテストで買っていなかったからな。自然と買わないといけない本が溜まるんだよ。
【冬華】そうなんですか。
というメッセージが冬華から送られてきた。
しばらくすると電話が冬華からかかってきた。
「宮都、クリスマスは予定はありますか?」
「特にないかな。例のイベントにも行けないし」
と僕が話すと
「なら、一緒に過ごしませんか?ほら、宮都が文化祭にやっていたゲームがあるじゃないですか。あれをやりませんか?」
と言ってきたが
「あのゲームはサービス終了したぞ。なんかアイディアが無くなったとかで。ゲームを起動してみればわかるぞ」
そう僕が言うと
「ほんとですね…。そんな理由でもゲームのサービスは終了するんですね。一つ学びました」
と言うと続けて
「クリスマスに一緒に過ごす口実がありません…」
そう残念な感じに話した。
「クリスマスに行く予定だったイベントに行っちゃだめって冬華が言って僕のクリスマスの予定を無くしたんだ。だから僕は口実がなくても冬華の家に行くぞ?」
「ふふっ、そうでしたね。私は何を考えていたのでしょう。口実ならあるじゃないですか」
そう冬華が嬉しそうに言うと「あとで詳しいことをメッセージで送りますね!」と言って通話を終えた。
そしてクリスマス当日。
雪が降る中、冬華が僕の家に迎えに来た。
迎えに来た格好は白色の冬専用のワンピースを着て、白のニーハイソックスと白のブーツを履いていた。
「いつもの服も似合ってて可愛いけど、今日の服装は断トツで可愛いぞ!」
「そうですか?買ったかいがありました!」
と冬華が嬉しそうに言う。
家に着くと、冬華が着替えていつもの私服となった。
理由を聞いてみると
「私のお姉ちゃんも着たいと言っていたので、汚さないように着替えたんです」
と答えた。
すると冬華が
「宮都、持ってきましたか?」
そう聞いてきたので
「もちろん!」
と言うと同時に冬休みの宿題を出す。
「いろいろと考えたんですが、やっぱり私たちはこれですよね」
「だよなぁ。出かけるって言っても人がたくさんいるし、寒いしな」
「ですよねぇ」
そう言いながら宿題を進める。
昼ご飯の時間になると冬華が卵とご飯を2人分持ってきて
「最近、”卵かけご飯”にはまっているんです!」
と僕に言ってきた。
「いきなりどうして”卵かけご飯”にはまったんだ?」
「昴の彼女さんからですね、「卵、ご飯、醤油があれば作れて美味しいんだよ!」と写真とともに作り方が送られてきたので作ってみたらとても美味しくてはまりました」
そう冬華が答えた。
僕は
「そうだよな。卵かけご飯は作るのが簡単でしかもとても美味しいもんな。わかるよ」
そう冬華に言うと「ですよね!」と子どものように目を輝かせて言う。
卵かけご飯を食べ終えて休憩していると昴からメッセージがきた。
【昴】そっちはどうだ?俺たちはデートしているぞ?
【宮都】僕は冬華の家で過ごしているよ。
とメッセージのやり取りをしていると冬華が
「なにしているんですか?」
そう聞いてきたので
「昴からメッセージが来てな。『街に行ってデートをしてる』ってさ」
と僕が言う。
「あの2人はアクティブですね…。寒いのによく長時間外に出てられますね。私は無理ですよ」
「防寒着来てもか?」
「そうなんですよね。ちなみになのですが、さっきの格好はとても寒かったです」
と言うと冬華が続けて
「なので、私たちは私たちだけの思い出を作りましょう。というわけで続きをやりましょう」
そう言って僕たちは宿題を再開する。
宿題をやっていると冬華のお姉さんが入ってきて
「2人とも、こんな日まで熱心ね。遊びに行かなくてもいいのですか?」
そう聞いてきた。
「寒いので外に出たくありませんし、人がたくさんいるので楽しめないです」
「冬華はバリバリのインドア派ね。宮都君は?」
「僕も冬華と同じですね」
と答えると「似た者同士ね…」と言われた。
宿題をやっていると外が暗くなってきたのでそろそろ帰ろうとすると
「あの、あとで執事に送らせるので、もう少しいてください」
と言われたので午後5:00までいることにした。
僕は帰り際に内緒で買っておいたクリスマスプレゼントを冬華に渡す。冬華に「開けてもいいですか?」と聞かれたので僕は「いいぞ」と答えると包装をきれいにはがし、中を見る。
「マフラーと手袋…。しかも私と同じ髪の色…」
プレゼントを見ながら冬華が言うと僕を見て
「私だけがこんなうれしい思いをしてもいいのですか?」
そんなことを聞いてきた。
「僕は冬華といるだけで幸せだから」
僕は恥ずかしいけど冬華に本心を言う。
「宮都、これは厳重に保管しておきますね」
「使わないと意味ないだろ?!もしかして気に入らなかったのか?」
「気に入ったからこそ使いたくないんです。それにこれはもう私の思い出の品なんです。使ってボロボロにしたくありません」
冬華がそう言うと僕があげたプレゼントを両手で大事そうに胸に抱いて
「ありがとうございます。宮都」
僕はプレゼントを気に入ってくれたのと同時に、冬華の今までの中で断トツで可愛い表情を見ることができてうれしかった。
執事の車に乗っていると
「冬華お嬢様のためにありがとうございます。あんな楽しそうなお嬢様を始めて見ました」
と言ったので
「そうなんですか?僕にはいつも通りだと思ったんですが」
そう僕が言うと
「それだけ宮都様といるのが楽しいということでしょう」
と話した。
家に着くと
「これからもお願いします」
と言われた。
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