第8話 ジャイアントモール討伐
またまたやって来ました害獣駆除の討伐依頼。
今回の対象は、街の畑を荒らすジャイアントモールの討伐だ。
『ジャイアントモール』
地中で生活する哺乳類科の生物で巨大なモグラ。
魔力の影響で巨大化をしており、畑を耕してくれるミミズを捕食し尽くしてしまった。
その所為もあってか、人間までもが餌となってしまったようだ。
体長が50cm程もあり、肉食獰猛。
「ここが依頼の場所?畑が無くなっているじゃないか...これじゃあ荒地だよ」
目の前に広がるのは、畑だった荒地。
そこは作物の一切無い、荒れ果てた場所へと変化を遂げていた。
今回の依頼は、農夫組合から出された物だ。
これだけの多数の場所で被害が出ているなら納得だよ。
「でも、作物が無いなら魔法を試せるな。まあ、当てられればなんだけど...」
魔法を使用する際、ネックとなるものが存在する。
場所と時間だ。
今回、場所は荒れ果てた土地と言う事で条件をクリアしている。
二次被害を出す事が無くなったからだ。
そして、時間。
これは魔法発動までのタイムラグが発生している為だ。
現状、詠唱が終わらない限り魔法が発動する事は無い。
相手は動きを止めた的では無いからだ。
「そうなると、魔法を当てる為に工夫がいるな」
現状、魔法を選択してから詠唱を始める為、唱え終わるまでに10秒程時間が掛かってしまう。
「確か、モグラの巣穴は地上からでも解り易いって依頼書に書いてあったな。モグラ塚って言うんだっけ?」
モグラは、習性として掘った土を巣の外へと積み上げて行く。
これは、新しい巣穴を掘ったりトンネルの修理をしたりする為の物らしい。
その近辺には盛り土が出来ているので一目で解るのだ。
「それなら、その場所に餌を仕込めば動きを止められるのか?だけど、モグラってメチャクチャ大食いなんだっけ?」
モグラは生きて行く為に非常に多くのエネルギーを使用する。
その為か、餌の量が膨大になるのだ。
一日に摂取する餌の量は、自分の体重の半分近く。
胃の中が半日空っぽになっただけで餓死してしまう程の大食漢なのだ。
今回の討伐対象のジャイアントモールは、体長が50cm程もある。
通常のモグラの大きさが10~20cmだと考えれば、如何に規格外な大きさだと解るだろう。
それは畑が荒れる訳だよ。
「放っておいても、いずれは餓死するのかも知れないけど、その時は、ここの農地全てが荒地になってしまうのか...それは流石に放置出来ないよ。急いで倒さなければ」
“害獣”。
人間社会にとって有害をもたらす哺乳類に属する動物一般の事だ。
放置すれば、悲惨な結果を生むだけだろう。
駆逐しなくてはならない。
「魔物では無いと言え、これだけの被害を出してしまうんだから、それは討伐対象になる訳だよ...餌となるミミズは近くには居なそうだから、ミルワームかコオロギが必要になるのか。確か、街で売っていたな」
害獣駆除用の道具として、そう言った餌が売られていた。
トラップを仕掛けて捕獲する事も手だけど、倒してしまった方が楽だからね。
「あとは、モグラ塚の巣穴の確認と埋め立てが必要になるのか」
モグラ塚(巣穴)は本道と支道に分かれており、モグラが頻繁に通る道と通らない道に分かれているのだ。
これは見極めが簡単で、モグラの習性を利用すれば良いだけ。
トンネルを埋めて地面を平らにすれば、修復する習性が働く為、再びトンネルが出来上がるのだ。
盛り土が出来た所が本道となる。
「聴覚と臭覚に敏感だから、近寄りすぎると逃げられてしまうか?まあ、やってみないと解らないか。早速、準備を始めてと...」
僕はジャイアントモールを討伐する為の準備を行った。
街に戻って餌の確保。
そして、本道の確認。
それらの準備が出来たところで、討伐の開始だ。
「さて、あとはジャイアントモールが出て来るのを待つだけだね」
すると、出るわ出るわで色々な箇所からジャイアントモールの形跡が出て来る。
但し、僕はそれらの数を一度に相手にする事が出来無い。
順番に討伐をして行くしか無いのだ。
近い場所から順番にトラップを仕掛ける。
そして、餌を乱雑に広げた。
これは餌を巣穴に持って行かれたら厄介になるからだ。
「おっ!出て来たな!じゃあ、早速呪文を...」
モグラは視覚が弱い。
その為か、僕が見える距離に居ても目視では気付く事が無い。
頼りになるのは嗅覚と聴覚だけなのだ。
だが、僕はわざと全身を土で汚していた。
これは人間臭を消す為だ。
掃除の手入れが大変になる訳だけど、これで楽に倒せるならお安い御用だ。
問題になるとすれば嗅覚を刺激する呪文の詠唱だけ。
だが、結局は、これも心配いらなかった。
餌を取る事に夢中で僕の事は完全に無視をしていた。
それ程空腹だったのだろう。
自然の摂理には逆らえなかったようだ。
「その身を燃やし尽くせ!ファイア!!」
格好良い台詞に、格好良いポージング。
これは、日夜、鏡の前で他人にどう見られるかを研究しての行為。
ふっ、決まったな。
最高に格好良過ぎると言うものだ。
そうして放たれた魔法は、ジャイアントモールの断末魔と共に全てを燃やし尽くす事に成功した。
「消し炭に成り果てたか...ふっ。またつまらぬものを燃やしてしまった...」
こうして僕は相手の魂の力を吸収して行き、此処ら辺一帯のジャイアントモールを駆逐して行った。
すると、魂位が上昇する。
『ルシフェル』
称号:無し
種族:天使LV2
職業:魔法使いLV2(+1)
HP
114/114(+41)
MP
127/127(+55)
STR 29(+7)
VIT 24(+6)
AGI 24(+6)
INT 40(+10)
DEX 20(+4)
LUK 16(+3)
[スキル]
短剣技LV1 格闘技LV1 杖技LV1 弓技LV2
[魔法]
火属性魔法LV2(+1) 水属性魔法LV1 土属性魔法LV1(New) 風属性魔法LV1
「おお!LVアップ!!しかも、火属性魔法の位階が上昇しているし、新しい属性魔法を覚えているよ!」
ステータス画面に記載されているLVの上昇に、新しい土属性魔法。
討伐依頼で報酬も貰えて、魂位も上昇する。
やばい...
最高に楽し過ぎる!
まあ、この後の汚れを落とす作業で2時間以上掛かったのは内緒だ。
「さあ、次の討伐依頼は何にしようかな!!」
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