第4話 魔法(位階、習得度)

「ステータス、オープン!」


『ルシフェル』

 称号:無し

 種族:天使LV1

 職業:魔法使いLV1


 HP

 30/30

 MP

 20/20


 STR 15

 VIT 13

 AGI 11

 INT 20

 DEX 12

 LUK 10


[スキル]

 短剣技LV1 格闘技LV1 杖技LV1 弓技LV1

[魔法]

 火属性魔法LV1 水属性魔法LV1 風属性魔法LV1

[固有スキル]

 浮遊


 現在の僕のステータス。

 所謂(いわゆる)、初期状態と言うやつだ。


「それでは、ステータス画面を開いたまま魔法の項目に注目して下さい」


 アルヴィトルが僕の隣で丁寧に説明をしてくれる。

 ステータス画面って他の人から見えるのかな?

 もしくは、サポーターのアルヴィトルだけ?

 そんな風に疑問を浮かべていると、アルヴィトルが僕の表情に気が付いた。


「ルシフェル様。他のプレイヤーからステータス画面を“見る”事は出来ません。但し、鑑定スキルを使用すればその能力に応じてステータスを“診る”事が出来ます。ですが、基本、ステータスの情報を共有出来るのはサポーターの私だけでございます」


 長く綺麗な銀髪を掻き上げ、下から上目遣いで僕を覗く。

 表情は全然変わらないのに、その仕草は人間そのもの。

 これでNPCって信じられないよ。


「“見る”と“診る”の違いって訳か。でも、アルヴィトルだけに共有出来ているなら僕は安心かな?」


 僕は笑顔でそう答えた。

 “見る”が、視覚を働かして、ものの存在、形、様子、内容を捉えて目で認める事だとすれば、“診る”は、脈を診る、医者に診て貰うとあるように相手の症状や健康状態を調べる事を表している。

 まあ、細かいニュアンスは人によってだいぶ違うだろうけど、スキルなどの特殊効果が無ければステータスを覗く事が出来無いと言う事だ。

 それに、アルヴィトルだけなら問題無く安心出来るよ。


「はい。サポーターとして秘匿させて頂きますので、どうかご安心下さいませ」


 言葉は固いけど、もしかして少し笑った?

 これは「僕じゃ無ければ見逃していたよ」と、ただその台詞を言ってみたいだけの僕だった。

 まあ、実際に言葉にはしていないけど。


「それでは、属性魔法の隣にLVが表記されていると思います。これは“魔法”においての“位階を”表しております」


 “魔法”。

 人間の力では成し得ない超常現象、不思議なことを引き起こすもの。

 “位階”。

 魔法においての位階は等級を表している。


「それぞれの属性魔法には位階が設定してあって、レベルが上がるごとに新しい魔法を覚えるんだよね?」

「はい。その通りでございます。ただ、魔法やスキルに関してですが、魂位が上昇したとしても同時に上昇する事はございません。魔法の使用頻度、熟練度によってのみレベルが上がって行きます」


 プレイヤーの意見が反映され、アップデート(僕にとっては改悪)されれば変わるんだろうけど、使えば使う程魔法が上達する。

 僕は、こう言ったリアルな設定がとても好きだ。


「確か、覚えた位階魔法にもLVが設定されているんだよね?」

「はい。その通りでございます。位階魔法にもLVが設定されており、使えば使う程、その効果も威力も上昇して行く事になります」


 これは、ステータスの一部抜粋になる。


[魔法]

 火属性魔法LV1・・・ファイアLV1


 火属性魔法の横に表示してあるLVがその魔法の習得位階を表していた。

 そして、位階魔法の隣にも同じようにLVが表記されている。

 これはその魔法の習得度を表しており、魂位と同じで最大LV10まで上げる事が出来るそうだ。

 それに応じて、魔法の効果や範囲、威力や消費魔力と言ったものが増減するものらしい。


「初期状態のファイアで、火傷の効果。範囲は、2m程の火柱。威力はゴブリンに対してだけど、三分の一程のHPを削っていたっけ?消費魔力はチュートリアルモード中で使い放題だったから、良く覚えていないけど...」


 ファイアLV1で、相手に対して10分の1の確率で火傷を負わせていた。

 その範囲は、ニm級のキャンプファイアのような火柱。

 ダメージは相手によって威力が変わるだろうが、チュートリアルモードで戦ったゴブリン相手にはHPを三分の一程削っていた。

 消費魔力は、ファイア1回で−3と定められていた。


「はい。ルシフェル様。LV1のファイアでしたら、大体そのような性能となります。これは、ルシフェル様が“ラグナロクRagnarφk”に没頭して頂ければ頂く程、その努力が身を結ぶ結果を生みます」


 現実世界では努力をした事が思い通りに活かせず、結果、無駄となる事の方が多いだろう。

 だが、此処は道筋がハッキリしている世界。

 方向性が決まった努力は必ず自分の能力へと還元される。


「それでは、どうか、楽しんで下さいませ」


 この時、アルヴィトルの微笑みがハッキリと確認出来た。

 その笑顔は、見るだけでヤル気が漲ると言うものだ。

 よし!

 僕は、ラグナロクRagnarφk、No.1プレイヤーを目指す為にも、努力を怠らず邁進して行く事を決意した。

 “僕が自由に動けるのは、此処しか無い”のだから。


「最強目指して頑張るぞ!」

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