第14話 薬草採集
プリモシウィタスから北に進むと、森がある。
森の中には、薬に使える野草、備蓄出来る木の実、素材になる魔物がいる。
今日は、ギルドで依頼を受けた薬草採集。
薬草はそのままだと使用する事は出来ずに、加工を施さないと使用が出来ない。
薬にする事で初めて効果を発揮するのだ。
回復アイテムの基礎原材料になり、これが無いと、ポーション、マナポーション、毒消し薬、麻痺消し薬などの回復薬が作成出来ない。
比較的簡単に入手、購買出来る物だが使用頻度が高い品物なので、有れば有る程良い。
そして、ようやく森の入り口に着いた。
「ランクが上がって、採集クエストが受けれるようになったのは良いんだけど、僕に薬草の判別が出来るかだよな」
ギルドランクがGからFになった事で受けられる採集クエスト。
だが、今はゲームを始めて三日しか経っていない。
このゲームに鑑定魔法があるのか解らない状態で、薬草を判別した状態で採集出来る訳では無かった。
「一応、受付の職員さんから薬草の特徴を教えて貰ったけど、ちゃんと解るかな?」
森の中には色々な草木が生えている。
それこそ現実世界と同じように多種多様で、地面には薬草に似た草が広がっている。
「えぇーと、薬草は...三叉に分かれた、ギザギザの葉」
僕からしたら、目の前に広がる草は似たようなもので違いがあまり解らない。
雑草、ハーブ、薬草と混じって群生しており、その中から薬草を採集するのだけれど形も似ているものが多い。
カエデのような葉の薬草に、イチョウのような葉の雑草。
「これかな?...何だか、意外とすんなり見つかったな。拍子抜け?これなら簡単に採集出来そうだ!」
手に取ったのはイチョウのような葉の雑草。
それを知らずに、依頼された数分の薬草を採集して行く。
「これで、20個と!よし!街に戻って依頼達成だ!」
採集が終わったのでプリモシウィタスの冒険者ギルドへ戻る。
道中も魔物に遭遇する事無く、薬草採集が終わった気でいたので街までご機嫌で戻れた。
だが、冒険者ギルドに着いて依頼の完了手続きをして貰ったいると。
「ルシフェル様申し訳ございません。こちらの品は薬草では無く、何の効果も持たない“草”でございます」
受付の職員が困ったようで表情が曇っている。
「こちらは、初めて薬草を採集される方に、ありがちな間違いでございます」
類似した草が生えており、殆どの初心者が間違って持ってくるそうだ。
すると、受付の職員が本物の薬草を取り出して僕に見せてくれた。
「こちらの薬草と、こちらの草の違いが解りますか?」
葉の茎と繋がっていた部分に少しの違いが見て取れた。
薬草の方はしっかりとした三叉。
雑草の方は左右に一つずつギザギザの部分が増えていた。
「見た目は、ほんの少しの違いですが、効果は全く違います。今回はこちらの雑草は処分致しますので、次回採集の際にお気を付けて下さい」
やってしまった。
完全なこちらの失敗である。
採集依頼の期間までは猶予があるので失敗扱いにはならないが、もっと慎重に見極める必要があった。
今回はギルド職員さんのおかげで違いを知る事が出来たが、これがもし依頼期間ギリギリでの依頼だったら?
そう考えると、適当に採集をした自分が恥ずかしかった。
戦闘面の依頼ではこんな適当にやる事は絶対無いのに、採集依頼での適当さに自分の不甲斐無さを知った。
これを、今後の戒めとして自分を律して行く事にする。
そして、気持ち改めたところで、今度はもう一度薬草採集に挑み正確に薬草を採集した。
もう二度と失敗をしない事を誓って。
「全力でやるって決めてたのに...こんな単純な失敗を...これを機に、もっと慎重に取り組もう!!」
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