第11話 ????①
「吐いてー。吸ってー。呼吸を整えましょうね?」
「んぅっ!すーっ、はーっ!すー、はーっ!」
お腹の痛みの波が激しい。
その痛みがひどい時は、身体全身へと力が込められている。
痛みが軽い時には、無理矢理、深呼吸を繰り返して、リラックスさせている。
繰り返される痛みの波を、何時間も耐えながら。
「もうすぐ、頭が出てきますからね」
「んっ...」
痛みを我慢しながら、必死に力を込める。
身体が裂けそうな痛み。
苦しい。
「はい!もう頭が出ていますよ!もう一息ですよ!」
「はぁ!はぁ!はぁっ!」
呼吸が辛い。
何度、痛みを乗り越えて、何度、力を込めれば良いのか?
もう意識が、保てなくなって来ている。
「もう少しですよ。もう少しですからね」
「っ...」
痛みが全身を駆け巡る。
だが、先が見えて来た事で、安心させるように言葉を掛けてくれている。
「はぁ!はぁ!はぁ...っつ!!」
お腹、お尻の痛みが引かない。
すると、突然、頭の方で何かが弾けたように痛み出す。
今まで以上に意識が朦朧として。
「患者の容態が急変です!先生に急いで連絡をして!」
薄れゆく意識の中で、慌ただしく動き回る人が見える。
何故だろう?
気付いたら痛みを感じていなかった。
どうなるのだろう?
なんだか瞼が重い。
「心肺が停止!早く先生を!」
耳から音が消えた。
意識が薄れて行く。
ああ。
早く顔が見たいな。
あなたに早く会いたいよ。
愛しい。
愛しいあなたに。
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