第19話 派生魔法・魔法追撃
「これで仕留める!!ファイア!!」
僕が使用した魔法は、火属性魔法の第一位階で最弱魔法だ。
だが、その魔法は熟練度が向上しているもので、ファイアLV9。
魔法や戦技(アーツ)と言ったものは、使用すれば使用する程、敵を倒せば敵を倒す程、その効果や範囲が上昇して行くのだ。
例
ファイアLV1 威力 50
範囲 2m
追加効果 火傷(10分の1の確率)
ファイアLV9 威力 ファイアLV1の1.9倍
範囲 ファイアLV1の1.9倍
追加効果 火傷(10分の4.5の確率)
「その身を燃やし尽くせ!!」
僕は魔法の熟練度を上昇させる為、同じ魔法をひたすら使用して魔物を仕留めていたところだ。
何時間と繰り返して来た事で、まもなくLVが最大値に達する頃だろう。
そして、魔物の魂を吸収したところでそれが起きた。
「おお!!ファイアのLVが最大まで上がったぞ!!」
[魔法]
火属性魔法10 ファイアLV10(+1)
ステータス画面を開けば、ファイアの熟練度が最大値に達していた。
すると、第一位階魔法のファイアの隣に新たなNEWマークが付いていた。
僕はそれを指でタップして確認する。
「あれっ!?何か新しい説明が...“ファイアの熟練度が最大値に達成した事により、派生魔法、魔法追撃が追加されました”?...何だこれ!?派生魔法ファイアバーンLV1?魔法追撃ファイアスラッシュLV9?」
[魔法]
ファイアLV10・・・派生魔法 ファイアバーンLV1(NEW)
魔法追撃 ファイアスラッシュLV9
「へえ。派生魔法のファイアバーンは、ファイアの範囲攻撃版ってところか...魔法追撃は、タイムラグ無しで一つ上の位階魔法に繋げる事が出来るって!?何これ、やばっ!!」
魔法の熟練度を最大まで上げる事によって、新たに使用が出来る派生魔法。
そして、第一位階魔法の後に第二位階魔法を連続で放つ事が出来る魔法追撃。
これら二つの要素が新しく追加されていた。
「ファイアバーンは何となく想像が出来るけど...魔法追撃ってどんな感じなんだろう?じゃあ、早速試してみようかな!!」
目の前には程良く、ファイアの熟練度を上昇させる為に戦っていた魔物が残っていた。
その魔物に対して僕は、魔法を追撃を試してみる。
「先ずは、第一位階魔法のファイアから...」
対象に狙いを絞ってファイアを発動する。
すると、キャラクターが呪文の詠唱を始め、体内の魔力が自動的に両手へと集まって行く。
「我が魔力の深淵。敵を穿つ力と成りて、全てを燃やし尽くす灰燼と化せ。ファイア!!」
LV10となった今では対象を中心に4m程の火が起き上がった。
威力もLV1の頃の2倍。
そして、追加効果の火傷も10分の5(2分の1)の確率で発生する。
僕の目の前で、魔物を巻き込んでゴウゴウと燃え上がる火。
通常なら火属性魔法のエフェクトが発生している間、硬直時間が発生してしまうのだが、魔法追撃を覚えた事により、その選択肢に限り動けるようだ。
「魔法追撃、ファイアスラッシュ!!」
本当なら、“格好良く台詞”を言いたいところ。
だが、まだ勝手の解らない魔法追撃だ。
その為か、“前後の台詞”で全然雰囲気が変わってしまっていた。
だと言うのに、対象が燃え上がっている間。
僕の硬直時間が解除され、第二位階魔法の詠唱が始まっていた。
そして、ファイアの魔法が消え去る瞬間と同時。
LVの上がったファイアスラッシュの魔法が発動していた。
対象に向かって放たれた三本の斜線。
火で焼きながら切り付ける魔法だ。
「これが魔法追撃!?実質、ファイアが当たれば、次の魔法もダメージが確定しているじゃないか!!」
間髪入れず放たれた魔法追撃。
第一位階のファイアが当たれば、第二位階のファイアスラッシュに限り、詠唱込みで連続で当てる事が出来る能力。
もしも、これが第三位階、第四位階と繋がって行くのなら...
僕はそんな妄想を浮かべて、未来を楽しみに新たな活力が漲っていた。
「これでまたNO.1プレイヤーに近付いたぞ!!全ての魔法の熟練度を最大まで上げてやる!!」
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