第24話 ポーション作成
今日はポーション作成に挑戦してみる。
折角、調合室を拡張設置したのならば、使わなければ勿体無い。
『調合室』
「よし!今日はポーション作りに挑戦しようかな?」
ポーション作成。
薬作成で指定レシピがあれば、簡単に作れる回復薬だ。
原材料は、薬草のみで作成出来る。
その場合は、ポーション(劣化版)となるが。
作成方法は薬草をミキサーで簡単に切り刻むか、手作業ですり鉢を使って力押しで液状にするか。
ただ、指定レシピで作成する時は原液のままになるのでかなり不味い。
市販の物は、まだ野菜ジュースに近くフルーツなどの風味を感じる事が出来るので多少は飲み易くなっている。
自力で作成する場合、正直、アレンジを加えないと飲めた物では無い。
塗り薬としてなら使えるかも知れないが、今のところ効果は薄い。
「原液のままか...まあ、取り合えず、お試しでの作成だから、それでも良いか」
調合室には、まだ備品が揃っていない状態。
あるのは、すり鉢くらいで、薬品を取り扱う為のビーカーやフラスコ、ガスバーナーと言った所謂(いわゆる)化学室に置いてあるような物は何も無い。
その為、今回は手作業で作成するしかないのだ。
「早速チャレンジしてみよう」
薬草を取り合えず、すり鉢に投入してすり潰して行く。
大体、薬草10個で1瓶分だ。
後は、力ですり潰して行くだけ。
「よし!混ぜて行くか!」
グルグル、グルグルと、ひたすら液状になるまで混ぜて行く。
混ぜている薬草はドロドロしていて、青っぽい臭いが部屋に充満して行く。
これは、臭いの時点で不味そうだ。
そうして液状に混ぜ終わったら、瓶へと移して行く。
「くっ、かなりドロドロしたポーションだな...」
瓶に移したポーションは、それなりの品に見えるようになるから不思議だ。
ただ、品質は、かなり悪い。
お店では買取不可能で、使用出来るのも自分だけ。
これがアレンジを加えられるポーションなら、話は別となるが。
ちなみに、オリジナルレシピ作成なら、自由にポーションを作成出来る。
薬草から、回復の成分だけ抽出して、他の飲み物に効果を移す事も出来るようになるのだ。
その段階の拡張まで、相当、時間も、手間も掛かるけれど。
「一応、味見してみようかな?」
瓶に移したポーションを使用するのは勿体無いので、すり鉢で混ぜ合わせた際に表面に残っている部分を指に掠め取って舐めてみる。
「うぅっ!不味!!」
青味がかった苦い部分が全面に出ていて、ドロドロとしている分、味がかなり濃い。
水で薄めるなら、もしかしたら飲めるようになるかもしれないけれど、それでもきっと不味いものだろう。
たぶんだが、薬草をそのまま食べた方が、まだ良いと思える品だった。
「これは...このままの物を自分で使用するのは正直、無理だな。不味いのに、回復効果も、さほど無いときたもんだ」
傷を負った際でも味覚の記憶が躊躇を生むだろう。
たぶんだけど、生死を彷徨う状況になって、初めて飲むと言う選択肢が出て来る品質だ。
「...もしかしたら、これを敵に投げたらダメージを与えられるのか?」
そんな、正規の使用方法以外が頭に浮かんでしまう。
薬の調合は、アレンジレシピが拡張出来るまで封印だな。
初めてのポーション作成は、そんな苦い思い出だった。
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