異世界でナース始めました。

るん。

第一章

第1話 疲れきった生活



──永続的に鳴り響く様々なアラーム音、止まらないナースコール。




「佐藤さん、私さ201号室の木下さんのヘパリン交換しなきゃだからナースコール出てもらっていい?」

「……はぁい」


ナースコールを無視して同期と喋り続けるバイト感覚の新人ナース。


「自分の受け持ちぐらい出てよ……」

看護師5年目、藤本すみれ(26)は疲れ果てていた。


人と関わることが好きで、食いっぱぐれることがなく、それでいて人様の助けになれるすばらしい職業だと思ってなった看護師。

実際は、想像何倍辛かったとかでは表現できないぐらいキツい職業であった。


排泄物の世話、バイタルチェック、アセスメント、急変対応、緊急入院対応なんて慣れれば苦じゃなかった。


世間では高給取りと思われているが月並みの給料で別に高い給料ではないし、命を背負う責任と重労働やサービス残業を考えたら月給100万は欲しいけど、やりがいはあるし患者さんのためなら頑張れた。


1番私が疲れたのは人間関係だった。


綺麗事ばかり並べ業務を圧迫し結果スタッフにも患者さんにも負担が入っていることに気がつかない師長、周囲を自分の取り巻きにして気に入らないスタッフや自分の派閥に入らないスタッフを孤立する様追い込み部署移動させる主任。

さらには患者さんを放置し危険な目に合わせ、経験もまだないのに自信満々に間違った処置をしようとしてしまうモンスター新人7人とそれを指導せず見てみぬふりをする同期や先輩たち。


同期が言うには私は真面目すぎるらしい。

患者さんはかわいそうだけど、放っておけばいい。とのことだった。


あんな新人たちを放置していたらいつか人為的なミスで患者さんが死ぬ。

私にはそんなことできなかった。



「今日も疲れた……」

帰宅しバタッと床に倒れ込む。

今日も晩ご飯はウーパーイーツにしようとか、お風呂入らなきゃとか、今日こそは買ったRPGの続きをするぞ……とか考えているうちにものすごい睡魔が来た。

どんなに抵抗しても重たくなる瞼、お風呂入らないと肌がまた荒れる……。

まだ、寝たくないのに……。



と考えているうちに床で眠ってしまった。




──────────




「───様!!


──────────こ様!!!!」



……何か声がする。



「ああ、巫女様!!!」


お目覚めですか巫女様!!!!!」


……。

目を開けると、何やら50代ぐらいのおじさんが覗き込んできている。

寝起きで重い体をゆっくりと起こし、周囲を見渡すと


「え」


ファイナル◯ァンタジーで見たことのある様な、西洋風の王宮と思われる建物の中であった。

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