真の強者は気迫だけで決着をつけるものである

　俺には、化け物みたいな妹がいる。

　三歳の頃にはゴブリンの集団を殲滅し、七歳になった時にはミノタウロスを切り刻んでいた。そんな、人外染みた妹がいる。俺と俺等の育て親である師匠もまた常人であった。そんな妹が家を出てから早三年。遂に限界が訪れたのだ。

「師匠、噂の出し口を止めましょう」

　王都に出た妹は『剣聖』と呼ばれるまでに成り上がり、俺たちの事を素晴らしき強者であるという出鱈目を王都中に吹聴、俺たちを探し出そうとする記者やスカウトマンの動きはこの田舎に居ても伝わってきていた。

　主人公の名は『アルキバート』

　常人でありながら強者の如き気迫を放つ男。これは、とある男が『剣聖』と呼ばれる妹弟子やその他諸々の強者たちから何ともはた迷惑な勘違いをされながら、今日を生き抜いていく物語。
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