第18話 カイピリーニャとカーニバル
すぐ横を、幾種類ものデザートをたっぷり載せたカートが通った。クリスティナさんが「いかが?」と勧める。
今日は罰を受けなくてもよいかと思っていたのだが、
覚悟を決めて、並べられた皿を見た。
ティラミスを取り上げたクリスティナさんは、
すると男はにやっと
二つ重ねたグラスをごつい腕で豪快に振り、カクテルは完成した。
その名をカイピリーニャ。
ライムが爽やかで一杯さらっと飲んでしまう。だが飲み口が良いとは云え、明らかにアルコール度数が高いことの窺える味。人を酔い潰れさせるための危険な酒だ。
***
帰り道では今日も若者たちがバーから溢れて、路上まで熱気で沸き立っていた。
一杯のドリンクさえあれば彼らは、
店の奥からサンバが聞こえてきたと思ったら、若者たちはうずうずと体を動かし始めた。少し
リオデジャネイロが最も有名なダンスパレードの熱狂ぶりは、世界最大の祭りと称するに相応しい。最早ダンサーと云うよりパフォーマーと呼ぶべき踊り子たちの多くは黒や褐色の肌をしている。この際サンバの出自が黒人奴隷の音楽にあることは注意しておいてよいだろう。あの熱狂の裏にはかつて抑圧されていた黒人たちの、ハレの日の歓喜の爆発があるのだ。
そのことに想いを馳せると同時に――今、
それは
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