第10話 モヘッチス②出発
紙の箱に入った朝食セットが配られた。パンが二つに、チョコチップクッキーに林檎。飲み物は水にジュース、コーヒー、それにビールも選べて、飲み放題。
それにしても先頭から私の乗る最後尾まで全二十七輛、実に長大な車輛編成である。
そろそろとホームを抜ける間、ホームに居残る駅員たちが手を振ってくれる。彼らの
列車はクリチバの街を
再び動き始めて
線路沿いに時折緑地が現れるのだった。そこに咲いているのは
さらに進むとビルディングも家も次第に姿を消して、代わりに見えて来たのは一面の緑。草を食む馬の親子が遠くに見える。土地の遣われようは実に贅沢だ。広大な牧場に、馬は
次第に列車は山中に分け入り、
其処は楽園の廃墟のようだった。
絶景。手つかずの自然と、そこへ敢然と踏み込んだ人々の痕跡。たびたび川を横切り、其処らで瀧が白い水を落とす。
断崖に架かる鉄橋の遥か下には清流が見える。
放置された家。かつては駅舎だった廃墟。人の営みの遠い幻影。
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