三日目 土曜日
第9話 モヘッチス①乗車
依頼を果たして私の意識が元の躯に帰還したのが昨夜十一時。ホテルで僅かな時間横になっただけで、
観光列車は毎週末に運航されている。
パラナの州都クリチバ市から、外港パラナグアにほど近い町モヘッチスへと、絶景の山岳地帯を縫って走る列車はゆっくり三時間余りをかけ標高差約千メートルを
空港からホテルへも寄らず直接駅へ向かうと、駐車場にはツアー客用らしい大型バスが
車輛はホームに横付けされていたが、まだ乗せては貰えない。私の乗るべき車輛は
私の車輛は最後の二十七輛目だった。後から到着した後方の数輛は特別仕様で、それぞれ観光を楽しむための趣向が凝らさられているなかでも、最後尾車輛は側壁の半ばほどが取り払われ三百六十度視界を邪魔するものとてない。雨の降る日はさぞ不便だろうと思うが今日は幸い終日晴天との予報だ。
女性乗務員が入ってきて、マイクを手に話し出した。
各車輛に一人
歌うように節をつけて、時に身振りも交えてサービス精神たっぷりだ。長年の間に様々な人種の血が混じったらしい風貌で、なかでも黒人の血が最も濃く出ているように見える。
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