第8話 仕事
眠りに落ちて
早く仕事に掛かろう。
事前に写真で見覚えた刺青が両腕にあることを確認し、私は息を吐いた。毒蜘蛛と
今私の心は、標的の躯の
私が殺し屋稼業から足を洗えないでいるのは、この特殊能力あるが故だ。私は他人に憑依することができる。
但し、条件が三つ。
1.憑依する相手は、半径一キロメートル程度の範囲内にいる人間に限る。
2.憑依する相手は、人を殺したことのある人間に限る。
3.憑依する相手の、顔と名前を知っている必要がある。
あと、忘れてはならないのが憑依を解くための条件。憑依した相手の肉体が死を迎えた時初めて、憑依は終わる。それ故、
憑依している宿主を殺すとは、即ち私が彼の躯を駆って死に至ら
簡単そうに見えるが――監視厳しく常に周囲に人の目がある刑務所の中で、蘇生の余地無き完璧な致命傷を自身に与えるのは実は
仕遂げる際、他の囚人に迷惑を掛けても
例えば乱暴な囚人を挑発して
一番手っ取り早いのは刃物で喉を掻っ切るか、胸の辺りを一突きするかだが、毎回問題となるのは
その点、今回は気が軽い。エージェントが調えてくれていたからだ。収監されている囚人の一人が道具を調達し、手渡してくれる手筈になっている。
合図の咳払いをすると、
頸の皮と肉とを
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