第35話 実弾射撃

射撃。こればっかりは相当の経験を積まないと無理だと心から痛感した。検定が無事終了し晴れて海軍軍人として認められ、事実上二等水平としての階級を得る事が出来た。

厳しい訓練の毎日ではあったが、結果として得た喜びの方が大きかった。

分隊で防府天満宮に行軍参拝を神前にて行う。

「捧げ銃(ささげつつ)」分隊士の号令が冴えていた。これが、防通校に入って22日目の晴れ姿であった。

検定が終わり、本科の教育かと思っていたが陸戦の訓練が続いていた。空襲警報の発令が連日昼夜を問わず忙しい毎日。敵の上陸に備えてや対戦車攻撃の訓練が主だった。爆薬を抱えて戦車の下に入りチェーン切断を目的とする死を覚悟した特効である。

 こんな日常生活にも少しずつ慣れてきて防通校内の現状が見え始めてきた。江田島海軍兵学校の分校と言う事で生徒達が教育を受けていた。

又、飛行予科練習生も大勢いた。兵学校の生徒の多くに赤痢が発生し兵舎一棟が隔離病棟となっていた。



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