第36話 罰直

上官も兵の健康状態には特に気を遣っており、睡眠時間が設けられたのには皆が驚いていた。

夜間の避難だとか伝染病が流行っているとか、疲労が重なっていた僕にはそんな事はどうでも良くなっていた。軍隊で昼寝の時間がある事が夢のような話だった。

しかし、罰直は相変わらず続いていた。いつも全員気合いが入っとらん!と言われて教官も随分と荒れていた。

罰直の代表的なものは軍人精神注入棒でのバッターである。入隊して3日目だった総員最初の一撃を頂いたが、お尻をこん棒で叩かれると此の一撃で一瞬息が止まるわ足が攣って歩行すら出来ずでどうしようもなかった。

これが海軍の専売特許というところだろうか。時には2,3発叩かれ痺れているが徐々に痛みが薄れてくる。終わると、有難う御座いました。とお礼をし完了だった。叩かれる方も痛いが罰直をする上官の方も大変な重労働なんじゃないだろうか。頬打ちなんかは面白い程によくあった。

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