第15話 卒業
卒業式は、世の中が戦時中特に厳しい時期に入っていた。幸い、自分は田舎にいたため無事に卒業式を迎えられた。出来た卒業写真をみると、ぽつぽつと同級生の姿がない…何れも海員、商船学校、海軍へ既に出発しており欠席となった。
4月に入って自分も出発が近くなってきた。軍隊、海軍とは厳しい訓練を受ける場所だとは聞いているが、どんな所なのか繰り返し考えていた。
兄に軍隊の事を知識として少しでも聞いてみたかったが弱さを見せるみたいで口に出来なかった。
出発までもう少しとは言え期間が長く感じ苦痛になってきていた。卒業し友達は、それぞれの道へ行き学校もないので話す相手もいなくて家の前にある丘で考え事をして過ごす日も多かった。あまり見晴らしの良い場所ではないけど小さい頃からある景色を見ると安心した。
出発の数日前に、一番上の兄がお嫁さんを迎え、めでたい日だった。両親が亡くなってからは兄が父親の代わりに、姉が母親代わりだった。みんな無事成長する事が出来て、ご先祖様には感謝しないといけないな。
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