第14話 あと少し

後1ヶ月で、僕は出発する。あまり期間があるのもあれだな…卒業式の歌も唄わずに出発して行った友達たちは何を思ったのだろう…と心中察するとなんとも言えない気持ちだった。8年間の学校生活を振り返ってみると随分と色んな出来事があった。どの担任の先生も戦時中とあって出兵された。1年生の時の中島先生は満州へ。2年の時の林先生は召集されて中国で戦死。3年生の藤本先生は出征されて中国で戦死。藤本先生は私の一番上の兄と同級生ということもあって家庭の事情もよく知っていて私生活・教育全ての面でお世話になりっぱなしだった。悲しい限りだ…

4年生の時の川合先生は、南方方面で出征中だった。よく先生の下宿先に遊びに行って個人的にも仲良くしてくれて忘れられない思い出だ。

5、6、7の3年間は岸先生。母親が5年生の春に他界し我が家は大変だったが親のない家庭だった事もあって私生活の面において、お世話になり常に励ましてくれていた。戦時中にも関わらずこうやって教育を受けれた事は奇跡のようだった。

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