第32話 4月29日天長節。

入隊後、初の祝日である。水兵服の正装を着用での式典出席。みんなで、お互いの服装点検をし合い初めて水兵に成った満足感を味わった。

坂口教員陣が見て周り、僕にこう言った。

可愛いのう、ちゃんと胸を張って身体を大きく見せろ!と。恥ずかしいような、照れくさい気持ちだったが、この一言は内心とても嬉しく忘れる事の出来ない言葉だった。

昼食には赤飯も出た。赤飯と言っても白ごはんに小豆を入れた物だったが、果物等も付いて目を見張った。

5月に入ると、夜間警報の発令される日が多くなってきた。通信学校と言えば第一級の軍事基地…いつかは空襲に晒される事だろう。

ただ命令に従って行動するのみ。海兵団とは少々異なっていて、ここでは一期の検閲は20日間で一通りの軍隊知識を身に付けねばならず厳しい訓練の毎日であった。

銃剣術・銃の取り扱い・駆け足行軍・山岳戦・河川敷にての陸戦いずれも筆舌に尽くし難いものばかり…

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