第11話 通信兵
山口県と言えば遠い。通信兵と言えばモールス信号…そのくらいしか知らない。苦手な種目だが、もう後には引けない、一生懸命やるしかない!と思いながらも通知書を茫然と眺めていた自分がいた。
その間、兄はじっと立ったまま私を見守っていた。
今までの心の中のモヤが少しずつ消えていくのを感じていた。兄についても学校を欠席した事に触れる様子もなく安心した。
翌日は、登校して一番に教頭先生のところへ向かった。昨日の連絡で既に伝わっていたこともあってか反応は、うん。と頭を上下しただけだった。
僕としては何かの言葉を期待していたのに…先に出征した子達の事も知りたかった。
教室に入ると直ぐに福ニ君が話しかけてきた。採用通知が来たってな。うん、山口県の通信学校やわ。各務君は即座に、俺は横須賀電信学校やで、西と東ではなぁ〜一緒だったら良かったんやけどなぁ。と小さい声でヒソヒソと話した。お互い思う事は同じだった。
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