からかい好きの清水先輩

「こんなしんどいこと、1人でやろうとしてたんですか……」


 先輩と2人で花壇の雑草抜きをやり切った時俺はそう思った。


 いや、これ重労働だわ。部活辞めてからまともに運動してなかったから体力が……


「私も思ってたより疲れてるよ。君がいて良かった」


 俺とは違って肩で息をしていない。


 引退してからも真面目に体動かしてるんだろうなぁ。


 バスケ部かぁ……


「ジュース買ってくるけど何かいるかい?」


 俺が疲れきってベンチに座っていると声をかけてくる。


「あ、僕も行きます」


 立ち上がって先輩について行く。


「座っててよかったのに。疲れてたでしょ?」


「だとしても頼んで待つのは落ち着かなくて……」


「そっか」


 1階まで降りた先で先輩は買い始める。


「どれにする?」


「疲れたので甘いものが……」


「じゃ、いちごミルクどう?ここの美味しいよ?」


 目を輝かせて言ってきた。


「それにします」


 俺もお金を入れて買おうとする。


「いいよいいよ。手伝ってもらったし」


 俺の手を掴みいちごミルクを2つ買ってくれた。


 先輩の手めっちゃ柔けぇ。The女子の手って感じだ……


 なんか変態みたいだこの思考やめないと。


「はい、これオススメなんだ〜」


 ストローで刺す紙パックタイプのいちごミルクだ。


「あ、ありがとうございます」


 頭を下げて礼を言う。


「じゃ、上に上がってゆっくりしよっか。まだ5時半だし少し時間あるでしょ?」


「はい、6時頃に教室に戻ればいいので」


 夏奈さんの委員会が終わるの6時らしいし6時までに戻れば大丈夫かな。


「待ってるのは女の子?もう誰かと付き合ってるの?」


「女の子ですけど付き合ってないですよ!」


 この人は急に何を言うんだ。


「でももう女の子2人と仲良くなってるんだぁ。たらしだね、君」


「2人って……?たらしじゃないですよ」


 2人って誰だ?夏奈さん以外と知らない内に仲良くなってた?


「あれ〜、私とはまだ仲良くなってくれてないのかぁ。私はもう仲良く喋れる中だと思ったのに」


 シュン……というような効果音が聞こえた気がした。


「あ、いや、仲良く出来ないとかそういう事じゃなくてですね……!!」


 なんて口に出してからからかわれたことに気付く。またかよもう!


「また引っかかったね?君をからかうのは楽しいな」


 満面の笑みでこちらの顔を覗いてくる。


 俺の顔がからかわれたことの恥ずかしさで真っ赤になってる気がしたので俺は屋上まで階段を駆け上がる。


「待ってよ〜」


 後ろからそんな声が聞こえるが俺は外気で顔を冷やしたくて屋上に入る。


 ふぅ……


 ベンチに座り一息ついていると先輩も上がってきた。そして俺の隣に座って言ってくる。


「ごめんね〜。君からかったら可愛いししょうがないでしょ?」


 なんだこの人!?


 もうからかい好きな人って諦めるか……


 話すのは楽しいけど精神が抉られていきそうだなぁ。


「これから平日は基本夕方暇なんですけど放課後の暇潰しなにかおすすめ無いですか?」


 先輩は今日たまたまらしいし放課後暇になりそうだ。


「まぁ1番は部活に入ることなんだろうけど男子を受け入れて、その上にちゃんと活動できるとこは少ないだろうからねぇ。やりたい部活があれば顧問に聞いてみるのもありだよ?」


 バスケ部。さすがに無理かなぁ。


 前の学校でやりたいのに出来なかったからやってみたい。


「気になる部活あれば言ってね?顧問とか教えるし。他にも図書館とか色々あるけど、何も暇潰し見つからなくて暇って言うなら私遊びに来てあげるよ?」


 私も暇だしと付け加える。


「ありがとうございます。ちょっと考えてみます」


「うん。まだ2年生で時間はあるしゆっくり考えなよ。明日の昼にでも聞くね」


「はい。じゃあ、僕もう戻らなきゃなので」


 時計を見るともう55分になっていた。


「そっか。じゃまた明日ね」


 先輩はベンチに座っていちごミルクを飲みながら手を振ってくる。


「いちごミルクありがとうございました」


 飲み干したいちごミルクを持ち、俺は手を振り返して屋上を出る。


 そして少し早歩きをして教室へと向かった。


――――――――

昨晩更新できず申し訳ないです。


体調が良くなればお詫びとしてもう1話投稿したいです。








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