専属連絡人
2人が去って行ってとりあえず母さんたちに連絡を取ろうとメールを開くと心配するメールが届いていた。
「今のところ大丈夫だよっと、連絡してくれたらしいしこれだけ送っとくか」
そう思い、大丈夫だということだけメールを送るとその直後電話が母さんからかかってくる。
「はい、もしも」
「雪奈!!大丈夫なの!?」
その声はとても慌てていた。
「う、うん。大丈夫だよ。皐月さんの家に泊まらせてもらってて明日には帰れると思う。心配かけてごめん」
「いいのよ雪奈無事ならね。昨日は急に皐月先輩から電話来た時はびっくりしたのよ?」
「皐月先輩?」
皐月家と関係あるなんて聞いたこと無かった。
まぁ、親の関係なんて知ろうとしてなかったけどさ。
「うん、私の高校の時の先輩なの。先輩はねぇ。生徒会長で女の子からモッテモテだったのよ?」
そんなこと興味無い。なんて言ったら機嫌悪くなっちゃうし、黙っておく。
「〜でねでね?先輩はね?……」
長いな……かれこれ10分くらい先輩の話をされている。病み上がりの俺には苦行だよ。
「ふわぁ〜」
と、欠伸をすると
「あ、ごめんね。まだ寝といた方がいいもんね。私もそろそろ仕事だし行ってくるね。じゃあまた明日元気になって帰ってきてね。私達休みだしどこか行こ?」
そう言って母さんが電話を切る。
1つのこと話し始めると止まらないんだよねぇ……特に思い出話は。まぁ、1回寝よかな……でも、体は元気になってるし親の声聞いて安心したから会って欲しい人?に会おうかな。えっとベルを鳴らせば来るんだっけ?
ポチッ
シーン……
「あれ?音が鳴るんじゃ?」
そう思いもう一度押そうとすると
「もう押さなくて大丈夫ですよ」
と後ろから声がかかる。
びっくりしたぁ……
「え、えーと」
だれなのか聞こうとすると
「皐月家護衛職の如月と言います。以後桜城雪奈様の専属となっております。よろしくお願いいたします」
そう言って頭を下げてくる。
「専属?」
「はい。専属でございます。当主様又はお嬢様、ご子息様が気にいった方の場合、他家の方にも連絡係として護衛職が1人専属として着くことになっております」
ほへぇ……ってことは
「俺は当主様に気に入られたから専属がついててたまに連絡されるかもってこと?」
「いえ、そうではありません」
ん?分からん。
「当主様ではなく今回はお嬢様です。あなたとはこれからも仲良くしたいと」
ばたん!!
「如月!喋りすぎよ!!」
そのお嬢様が中へ入ってくる。
「「「……」」」
お嬢様と見つめ合う。如月さんは頭に手を当て首を振っていた。
「や、病み上がりの所申し訳ありません。し、失礼しました」
と、何事も無かったように礼儀正しくお辞儀して去っていった。
「お嬢様、少し遅かったですよ……」
俺はその言葉に頷いていた。
「まぁ、とりあえず当主様が会いたいと言っていました。今から連絡して参りますので少しお待ちください」
そう言って去っていった。
……普通にドアから出ていったが最初どこから現れたんだ……?
5分ほど待っているとドアから如月さんが顔を覗かせてくる。
「応接室で当主様がお待ちです。案内しますので着いてきてください」
俺はすぐにベッドから起きて如月さんと皐月家の当主に会いに行くことになった。
こんな名家の当主に会うなんて怖いんですけど……
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