授業初日

 俺は夏奈さんを追って教室へ走っていく。


 先生に怒られないようにジョギング程度の速さで走っていたが教室の近くに行くまで夏奈さんの姿を見ることは出来なかった。もう教室にいるのだろうか。


「―――――んだから!!」


 夏奈さんの声だ。何かあったのかな。いつもより興奮しているような声のような気がする。いつもって言っても通常の夏奈さんのことを知りきったわけじゃないからなんとも言えないけど。


 ただよく聞き取れなかったから後でそれとなく聞いてみよっと。


 もう始業の時間も近づいて来ていたので俺は後ろのドアからこっそりと入り自分の席へと向かう。



 キーンコーンカーンコーン


 一限目の予鈴が鳴り、クラスの生徒たちが席へと戻り始める。


 夏奈さんは頬を膨らませて席へ戻っていった。戻ってきた方向には宇野さんが席へと戻りながら何か悩み事をするかのように首をかしげていた。


 周りを見渡すとほかの生徒たちが夏奈さんのことを驚いた顔で見つめている。


 夏奈さんが大声を出していたことに関係があるのだろうか。


「ゴホンッ」


 教卓にいた先生が俺のほうを見て咳払いをする。


 おっと、そんな周りを気にしてる場合じゃない。初日なのに目立つようなことはするべきじゃないよな。転校生の時点で目立ってるとかは言うなよ!!


 俺は頭を少し下げながら自分の席へとつく。


「では、授業を始めます」


 そんな言葉から、俺のこの学校で初めての授業が始まった。


 それから4時間後、何事もなく午前の授業が過ぎていく。


 唯一授業が分かりやすくて、当たり前だけど難しかった。勉強頑張らなきゃな。


「明後日までに教科書265Pの予習をしておくこと。では、4限の授業を終わります」


 先生がそう言って教室から出ていく。


「皐月さん、宇野さんと何かあったんですか?」

「皐月さん、ご飯食べながらでもお話しませんか?」


 隣の席に生徒が集まる。授業間の休み時間はトイレ以外に立ち上がる人もおらず、ほとんどの人が静かに過ごしていた。だからか、昼休みになった瞬間に教室が騒がしくなる。まぁ、騒がしくといっても大声で騒いでいる人がいるわけではなく、ただしゃべり声が聞こえる程度だ。


 夏奈さんは他の人とご飯を食べるのだろう。


 どこか一人でゆっくり食べられるとこあるかなぁ。


 屋上とか?小説とかではありきたりな場所だけど現実では開いてないことが多いからなぁ。


 まぁ、屋上前の踊り場とかなら使えるかも。行ってみよ。


 便所飯とか男子トイレが教員用しかないのにできないもんな。うん。


 そんなことを考えながら階段を上っていく。


 ガチャンッ


 上のほうから扉の音が聞こえてくる。


 ワンチャン開いてるのでは?先生の可能性もあるけど……


 一番上まで上がると屋上の扉がほんの少しだけ開いていることが分かった。


「失礼しま~す」


 小さな声で挨拶しながら屋上へ入る。


 するとそこには大量の花壇が並んでいた。


 屋上庭園ってやつか?奇麗だなぁ。


 そうやって見回していると突然声をかけられる。


「何をしているんだい?男子ってことは君は噂の転校生かな?」


 ―――――


 更新が長い間止まってしまい本当に申し訳ありません。

 感想の返信なども出来ておりませんが読ませてもらってます!!ありがとうございます!余裕ができ次第少しずつ返信します。

 この作品は冬中に10万文字には行きますので気長にお待ちいただけると幸いです。

(つまりあのコンテストに……)

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