お嬢様説明書
「まずこちらの7ページを」
「ちょちょちょちょちょ待っ」
色々と突っ込みたいんだけどぉ??
説明書があることもだしこんな分厚いこともだし、いや人一人説明するのにこんなもんじゃ説明しきれないんだろうけどさ.......
「何か質問でも?」
「い、いや、えーと何から聞けばいいのか……」
「では、先に説明させていただきますね。その後にまとめてお答えしますので聞きたい内容をまとめておいてください」
え、止まってくれないのか。
「あ、すみません。雪奈様の分お出ししていませんでしたね。もう一部出しておきます」
如月さんに手渡されたのはそのお嬢様説明書だった。
いやそういうことで悩んでたんじゃなくて。
「では、7ページをご覧下さい」
あ、はい。
7ページ目をパラパラ開くとそこに書いてあったのは
「行動時間の目安です。お嬢様はだいたい朝六時半に目が覚め、鏡で髪の毛などを整え布団に入り直し、6時45分に起こしに来る我々に寝相が良いように見せかけています」
……夏奈ちゃん。無駄な努力みたいだね。
「私たちに起こされたあと、7時に朝食を取り7時半に家を出て8時頃に茶水学院に到着します。なので、雪奈様には7時過ぎに皐月家に来てもらいそこから一緒に向かってもらう予定です」
「朝食はもちろん取っていく感じですよね。あとは、登下校は車ですか、自転車ですか?それとも徒歩?」
「いえ、それはそちらにお任せします。皐月家で朝食をとりたいなら用意すると言っておられました。で、登下校に関しては基本は徒歩です。が、行事であったり参観日があったりする場合は当主様も行きますので我々が車をお出ししております」
基本は歩きなら俺は家を6時半頃に出なきゃなのか。
「そっちの家に行くまでは自転車使って行って家に置かせてもらうのは可能ですか?」
「可能です。護衛職やメイドたちが置く駐車場がございますのでそこをご利用ください。次は帰りの話です。茶水学院は今年共学化したばかりで部活動に男子が参加することがほぼ不可能です。ので、お嬢様と同じ委員会に入るか放課後は図書館などに残ってお嬢様の帰りを待つかの二択になると思われます。そこも考えておいてください。それ以降の時間に関しては私たちが基本護衛しますので特に気にする事はないかと思います」
「分かりました」
「では次に11ページを――」
そんなこんなで俺は夏奈さんのことが多分同じ学校の子らよりも詳しくなったんじゃないかな……なんで好きなパ○ツの色まで書いててそれを俺に教えんだよ。
「では、明日の臨時登校は我々が送り届けますので朝8時頃に皐月家へお越しください」
如月さんは頭を下げ帰って行った。
はぁ……。
そうため息をつく俺の手にはお嬢様説明書があった。
如月さんが最後に
「お嬢様にはこの存在をバレてはなりませんので家の外で見るのは控えるようにしていただけるとありがたいです」
そう言っていたので今のうちに読み込もうと思ったのだが
「あんなこと書いてあったからちょっと気が引けるんだよなぁ……」
うーん。まぁいっか。別に読まなくても支障はないだろうし机の奥底に隠しておこ。
そう思い2階の自分の部屋へ向かう。
その通り道に母さんの部屋を通ると予想通りイチャイチャしている声が少し漏れてくる。
なんというか、親のイチャイチャしているの聞くのって心にグサグサくるよね……まだそういう行為している訳じゃないけどなんかさ。ね?分かるでしょ?
それ以上その声を聞くと狂いそうだったので足早に部屋へ向かう。
中へ入り、左手側にある勉強机の鍵のかかった棚にこの冊子を入れ鍵を閉める。
別に何かをしたわけじゃないのに心も体も疲れていたのでベッドで横になると眠気が襲ってくる。
母さんたちもどうせ、ああなれば長いだろうと思いその眠気に身を任せることにした。
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