放課後

 予鈴も既に鳴っているので俺は急いで教室へと戻った。


 ドアを開けると大半の人達が既に席に座っていたので俺もすぐに席につき次の授業の用意をする。


 トントン


 教科書などを取り出していると肩を叩かれる。


 隣を見ると膨れっ面の夏奈さんが俺の方を見ていた。


「もう、どこ行ってたんですか?」


 いかにも怒ってます。というような顔で見てきている。


「いやぁ、夏奈さん。色んな人に話しかけられてたから邪魔かなぁって」


「そんなわけないじゃないですか。一緒に……」


 後半がボソボソと小さな声で聞き取れなかったが、まぁ、重要なことならもう一度言ってくるかな?


「で、どこに行ってたんですか?」


「1人でゆっくり食べれるところ探しに行ってたんだよ。どこにするか決めてないけど」


「なんで1人で」


 ガラガラガラガラ


 夏奈さんが何かを言いかけた時、先生が入ってきた。


「5限の授業を始めます。教科書とノートの用意をしてください」


「また話は後で聞きますからね」


 夏奈さんはそう言って教科書を開いて前を向く。


 俺もそれに合わせて前を向き、屋上に行ったことをどうやって誤魔化そうか考えていた。


 そこから午後の授業も何事もなく過ぎていく。いや、時々夏奈さんに膨れっ面で見られることはあったが……


「雪奈さん。今から私委員会行くのですがどうされますか?」


 放課後になったが俺には予定がない。ただ、下校時まで一緒にって言われた気がする。委員会に入るか図書館か的なこと言われてたなぁ。


「ちょっと学校回ってみるよ。どんな活動があるかとかも見てみたいし」


「分かりました。お昼休みのことも聞きたいので残っててくださいね!では、また!」


 夏奈さんはそう言って教室から出ていった。


 ほんとに何しよっかな。


 そんなことを考えながら机に突っ伏していると


「ねぇ、ちょっといい?」


 と声をかけられる。


 誰だろうかと顔を上げるとそこには


「宇野さん?!」


「あ、私の名前知ってるんだ。まぁいいわ。話あるからちょっと来て」


 宇野さんは手招きしたあと、俺の反応なんて関係ないというように教室から出てどこかへと向かう。


「あ、ちょっと待って」


 俺は急いで片付けだけして追いかける。


 2.3分ほど歩いただろうか。ここは、どこなんだろう。


「ここよ。中に入って」


 ひとつの教室の中に入って手招きをしてくる。


 中へ入ると宇野さんは扉の方へと向かい


 ガチャッ


 と閉める。


 ……鍵閉めたの?!いや、怖いんだけど?!初日あんな脅しみたいなことされたのに……


「はぁ〜〜。ごめんなさい。こんなところまで呼び出して」


 突然さっきまでと雰囲気が変わり口調も変わる。


 なんというか刺々しくなくなった?というかなんというか。


「あと、始業式の日もごめんなさい。あんな口調で……」


 そう言って頭を下げてくる。


 え?ほんとに同一人物?


 あんな怖かった人と……


「え、あ〜。えっと宇野さん。始業式の日なんであんなことを?」


「うーん。なんというか……話せば長くなっちゃうんだよね。共学化に対して反対派が居るってのは聞いたことある?あなたが転校してきたことによってその人たちが動いてるってこととか」


 大体は今朝理事長に聞いたことと同じだ。


 俺は既に聞いて知っていたことなので頷く。


「結構知ってるのね。その人、いや人達かしら?から私の事も聞いたのかな。じゃあこれも知ってる?私の母が反対派をまとめてるってことも」


 おっと。理事長がかもって言ってたことをぶっ込んできたなぁ。


 ―――――――

「新たな波乱の予感」での宇野さんの口調に修正を入れました。

 キツめの口調ってことを考えすぎて男寄りになり過ぎてましたので……


追記:10時の時点で本日星を3人もの方に付けて頂きました。更新再開もとても久しぶりだったはずなのに皆さんに読んでいただけて嬉しいです。本当にありがとうございます。







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