担任の登場は派手だった
「最初に学園長からの挨拶があります」
そのアナウンスが流れると舞台の横から結構な年に見える女性がでてきた。
「皆様明けましておめでとうございます。冬休みは楽しんでこられたでしょうか」
その言葉から始まった挨拶は5分ほどのものだった。
にしてもどこの学校でも最初の挨拶って眠くなるよな.......
「では、次に生徒会長挨拶」
そう言われて舞台裏から出てきたのは高身長の可愛いとかより綺麗という言葉が似合う女性だった。
始まりの言葉は学園長と、ほとんど同じだったが続く言葉に気になるものを感じた。
「今年から大胆な変革がありました。それは共学化というものです。この案には半数弱の生徒と先生が反対していましたが、どうでしたでしょうか。後、1月でこの生徒会長職は
そう言って生徒会長は去っていく。
半数が反対してたのかよ。そりゃ今朝みたいなこと言われるよな.......あの子も反対派の1人なのだろう。
もう既に共学化が始動して8ヶ月は経っているはずだ。それでも、生徒会長がそう言っているということは相当根深いものがあるのだろう。
ただ生徒会長が推進派というのがまだマシかな。人望があるんだろうし何かあった時、相談すれば助けてくれるだろう。
「次に転校生挨拶。桜城さん。前へ出てきてください」
「は、はい!」
俺は立ち上がり階段をのぼり舞台の中央へと行く。
そこから全体を見てみると500人を超える生徒、ほぼ女の子に視線を向けられる。
明らかに嫌がっている視線もあれば好奇心を持った視線を向けてくるような子もいた。
俺は緊張しながらも何とか挨拶をする。
「え、えーと、聖光学園から来ました桜城雪奈と申します。この度名門茶水学院の試験生になれたことを光栄と思いますと共に自分の身に余る事だと思いますので力添えをして頂けるとありがたいです。これからよろしくお願いします」
.......考えてたこと全部吹っ飛んでいって夏奈さんに教えてもらったことそのまま言っちゃったよ。
恥ずかし。
俺はおそらく顔を真っ赤にしているだろう。挨拶も終わり逃げ帰るように少し早足で席へと向かう。
「夏奈さん。もう緊張して言葉が出てこなかったからそのまま使わせてもらったよ。ありがと」
「いえいえ。慣れていなければこんな大勢の前で緊張しない方がおかしいですからね。お疲れ様です」
夏奈さんにそう言ってもらい体の緊張が解ける。
ふぅ.......
「桜城さん。ありがとうございました。次に――」
色々な先生からの連絡があり、特に気になることも無く進んでいく。
「これにて令和X年度三学期始業式を終わり」
「ちょっと待ったぁぁぁ!!!」
ドアを蹴破ったような音に大きな声が聞こえ、バババッと生徒全員が後ろを振り向く。
そこには登山家というような服装と持ち物の女性の先生が居た。
「
夏奈さんがそう言う。
「誰?」
と聞くと
「さっき話していたうちの担任ですよ」
と答えてくれた。やっぱりか.......山登りに行ってるって言ってたもんね.......ホントだったのか。
「えーと、那珂川先生?どうされました?」
アナウンスの方が困惑しながら聞く。
「いや、特に何も無いよ。姫野先生に始業式には絶対来てくださいねと言われてたから終わりの挨拶の前には来てたってことを証明しようとしただけ。さぁ、終わりの挨拶をどうぞ?」
突っ込んでいいのか、これは?!
――――――――――――
良ければ応援、評価よろしくお願いします!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます